天狗原山・三田原山
概要
日程:2015年 4月25日(土)~26日(日)
参加者:赤坂ひ(L・記録)、藤澤(SL・食当)、赤坂と(会計)
4月25日(土)天狗原山
笹ヶ峰(1250m)06:50…杉野沢橋(1280m)0:750…尾根取付き(1330m)08:40…1427m地点10:00…天狗の肩(約2000m)12:20…天狗原山山頂(2197m)13:50…金山コル・尾根滑り出し(2160m)14:20~14:35ー登返しP(1650m)…尾根(1830m)15:50-1427m16:30-杉野沢橋(1280m)17:00…笹ヶ峰(1250m)18:30
計画段階では、今シーズンに天狗原山に行った山スキーの記録が見当たらず、過去の記録を見ても「高巻」「急登」「雪崩」「沢割れ」などなどの危険な地点も少なくなかった。しかし、現場で判断していく以外に解決方法はないという当たり前の結論に至り、念のために補助ロープ2本と歩行アイゼンを持って行くことにした。そして、切り札の装備(?)としては、困難にめげないモチベーションも加えた。
東京を前日24日午後9時半に出発。笹ヶ峰駐車場の正確な除雪状況が不明であるため、前泊は道の駅しなのとした。起床午前5時半。天気は、予報どおり良い。黒姫山と妙高山がくっきりと見える。風も穏やかであり、深山天狗原山が待っている。道の駅であらかたの支度を終え、笹ヶ峰の駐車場に向かう。予想外にもあっさりと笹ヶ峰駐車場内に駐車することが出来てトイレも使用可能な状態にあった。ロングルートで疲れた下山後の幕営が楽になりそうで安心する。
午前6時50分に笹ヶ峰駐車場を出発。板を担いで舗装道路を歩く。やがて黒沢の橋を渡ったあたりで林道をシール歩行した。沢に雪がたっぷりあり、杉野沢橋の先の堰堤の高巻をせずに済み尾根の取付きのあたりで休憩する。尾根の取付き部分は、傾斜がきつくいたるところに雪切れもあり、雪がつながりシール登行しやすそうな斜面を探した。シール登行で取り付いたところ、高巻がないことに安堵しすぎて油断したためか、誤った尾根に取り付いていたことに気がついた。リカバーのルートを検討したところ、登ったところを戻らずに沢筋に一旦下りて正しい尾根に取付くことが出来そうなことが判明した。メンバーから誤った尾根から下りた沢筋を詰めて最後に尾根に上がるルートも提案されたが、先々の雪の状況が不明のため、確実性の高い尾根ルートを選択することにした。
無事に正規ルートに戻ったが、1427m地点の地点到着が午前10時、稜線に出てからも山頂が遠く、天狗の肩までが精一杯かもとの発言も出るようになる。しかし、天狗原山をほぼ正面、右から金山、焼山、火打という頸城山塊の名峰の景色は素晴らしく、意外にも天狗の肩着が午後0時20分である。
山頂アタック可能な時間ではあり、異論もなく山頂を目指すことになる。ただ、山頂直下の斜面は、クラックや藪もある相当な急斜面であり、しかもシール登行中にズレ落ちると谷を深く滑落する危険もありそうであった。またまた異論もなく歩行アイゼンを装着して山頂に向かう。先行トレースが見当たらない中、藤澤さんに先陣のバケツ掘り隊をやって頂く。途中クラックや藪に阻まれ、最短のルートをたどれなかったが、とうとう午後1時50分山頂着。雨飾山、大渚山、白馬を初め後立山連峰が見える。
我々以外に誰もおらず人跡もない山頂で記念撮影をして、さて、シールを外そうかと思っていたところ、進路方向に目を向けると、コルから先の滑り出しの尾根の手前にはそこそこの傾斜のある登りがありそうである。シールを外すことを止めることにするが、他方、山頂からコルまでが急斜面の下りである。シールを着けているとはいえ、相当なスピードが出る。藤澤さんは、雄叫び(?)をあげながら、中途半端なターンにより転倒した赤坂ひの横をハイスピードで颯爽と滑降していった。この山行中、藤澤さんが一番楽しそうにしていた場面である。
コルの先の尾根からシールをOFFにして滑降。斜面や風景は素晴らしいが、だんだんと時間が気になってくる。標高差約500mほど滑降してシールをONにして登り返し。この後半戦に標高差300mも登り返しは応えた。稜線に戻り、シールをOFFにして先を急ぐ。風や日陰により雪面の硬くなってきており、滑降は、なるべく雪が緩んだ日向を選びながら、順調に1427m地点に戻る。日没前には笹ヶ峰に戻れそうだと楽観していたころ、尾根から林道に下る急斜面の雪付きが悪く、至る所に藪が出ていた。しかも最後に大きくはないが2カ所滝もあり、滝の落ち先の雪の状態が不明である。急いで帰りたいところであったが、安全面を考えると板を担いでの下り藪漕ぎもやむを得ないと考えていた。しかし、藤澤さんが少ない残雪を拾ってなんとか滑り下り、滝の落ち先にも雪が繋がっていることを確認することが出来たため、スキーで下ることにする。2カ所の滝のうち、最後の滝壺あたりに雪割れがあり、キックターンを失敗した赤坂ひが転倒した。下で待っていた藤澤さんと赤坂とから思わず声があがる。最後の最後まで見せ場を作るリーダーであった。
その後、杉野沢橋を渡り往路の林道を辿る。途中休憩がてらルートに貴重なご助言を頂いた深井さんに携帯電話で安全圏に入ったことを連絡した。舗装路に到着すると、一番元気そうな藤澤さんがよろけながら、シールを外していたのは驚いた。精神的に疲れたのでしょう。午後6時半、笹ヶ峰着。テント設営してビールにもつ鍋の宴会。藤澤さんと赤坂ひは、足をつったりしていたが、翌日の山行中止を申出する者はいなかった。夜気温が下がりフライをはった。おそらく星空が綺麗だった思うが、空を見る余裕もなく自然と眠りに落ちた。
4月26日(日)三田原山涸沢
笹ヶ峰(1250m)08:30…三田原山(2347m)13:50ー笹ヶ峰(1250m)15:15
起床は午前6時。ゆっくりと撤収し、出発する午前8時ころには駐車場には我々以外には人がいなくなっていた。
午前8時半頃、笹ヶ峰出発。藤澤さんがお初ルートということもあり、涸沢まで赤坂ひがトップをする。大して早くもないペースにもかかわらず、前日の大疲労からメンバー中の紅一点から弱音の発言も出るも藤澤さんが励ましてパーティー一体で山行を継続する。 涸沢に着くと、大きな倒木が沢山あり、シール登行の妨げになった。2~3カ所板を脱ぐことになる。その後、ボートの若者軍団と抜きつ抜かれながら、赤坂夫婦は、のんびりと三田原山に到着する。眺めはすこぶる良い。右には天狗原山と金山があり、昨日のルートを思い描く。正面には高妻山、乙妻山が見え、その後ろには後立山、さらには剱岳らしきなピークがうかがえる。滑降は、多少の雨溝があるものの、ゆるんでおり、斜度も快適である。途中、倒木帯を避けるため登りルートを避けたが、竹林のような高密林のタケ樺には少々手こずった。午後3時15分に笹ヶ峰到着。苗名の湯で汗を流し、黒姫の信濃屋でそばを食し、帰京する。今シーズン、屈指の密度の濃い山行であった。弱小リーダー赤坂ひを支えてくれた藤澤さん、赤坂とに感謝する。(記録赤坂ひ)