本来は1泊2日で巻機山と周辺の山の予定でしたが、土曜日のみ晴れの予報により夜行日帰りで、降雪の状況によっては井戸尾根滑走の行程でした。
前日は沼田から雪模様で湯沢に入っても軽い雪が降続き、6時に前泊地(湯沢健康ランド)を出発時も降っていたが小雪程度でした。
6時30すぎに清水集落の入山口に到着。すでに10台程駐車していた。雪のちらつく薄曇りの中出発。数日前から降雪が続いていたのでラッセルを覚悟していたが先行の方々のトレースがついていて感謝しながら登り始める。雪の深さはブーツ〜脛位の高さでした。
同じ頃登り始めた5人組みのパーティーと前後しながら進み、井戸の壁も絶妙なトレースのおかげで登れ(清水のキックターンは相変わらず まごつくが)、展望台に到着。晴れ間が現れた瞬間に米子沢の大滝のあたりを覗くが雲に隠れて見えない。大滝は埋まっているのは調査済みなので出発する。
森林限界をすぎニセ巻の大斜面に取り付く頃には晴れ視界が良好になり、真っ白な巻機の稜線が現れた。避難小屋付近に1人登っているのが確認できる。風の影響で雪が飛ばされているので早めにクトーをつけ慎重に登る。次第にガスが降りてホワイトアウトに近い状態の中、前を歩く藤澤さんが右(米子沢方向)へ進んでしまい雪庇を踏み抜き滑落してしまう。
落ちた瞬間を見て呆然としたが、すぐに無線で安否確認がとれ怪我もない事が判明した。
約5m位滑落したらしい。
引き上げるには装備不十分(共同装備のロープは雪庇の下)で右往左往していると、5人組のパーティーの1人が見えたので声を掛け事情を話した所、直ぐにロープ等を出し救出作業を始めてくれました。やがてパーティー全員が揃うと見事な連携で作業を行い、清水は藤澤さんとの無線のやり取りのみで固唾を飲んで見守っているだけでした。次第に晴天となり米子沢には滑ったシュプールも見えた。
滑落場所からひき上げるのは困難と判断し、藤澤さんにはニセ巻直下の上がり易い場所までシールで登り合流する事になる。パーティーの皆さん(ぶなの会の混成パーティー)に御礼を言って別れるも、無事合流するまで見守ってくれました。
20mほど登り、藤澤さんを引き上げ大休憩。まだまだ大勢の人が登ってくる。時間は12時30分でこの先どうするか協議する。雪庇下の雪の状態が概ね安定している事、時間的に井戸尾根よりよりも米子沢滑走が早いなどから山頂まで行き、当初の計画の米子沢を滑る事に決定した。気を取り直して出発し、山頂に向かう登りで再度パーティーの方々と会う。ブサの裏沢を滑って翌日登り返すとの事でした。
山頂付近のドロップポイントに到着し13時30分に滑走開始。広々とした米子沢源頭部をニセ巻機直下に向かって滑る。ニセ巻機をすぎたあたりから除々に狭くなり間隔を空けながら滑走する。気温も上がり時折右岸からの雪庇崩落の真新しいデブリが次々に現れる。素早く滑り抜けたいが、前日までの降雪が重い雪に変わり苦行となる。藤澤さんは悪雪に強く軽快に進んで行く。
デブリに注意している内に大滝を通過し安全地帯で大休憩する。沢山のシュプールがあり私達が米子沢を滑る本日最後のパーティーらしい。暫くすると往路に合流し登山口に下山する。
行動中の多くの方々の協力の下、山行を終えた事に感謝致します。
(清水 記)
ニセ巻手前
巻機山山頂直下
ルート図(赤:上り、緑:下り)