雪の降るこの時期なら、軽く登ってパウダーが楽しめる安近短の有り難い山域。
今回は昨冬前に建て替えられた小見山別荘をベースに、十二沢で3回、荒砥沢で1回の深雪滑降を楽しむ。初めて山スキーをする角田ジュニアは、持前の基礎滑降技術とパワーで華麗な山スキーデビューを果たす。仲間どうしの共同炊飯により、近場低コストながら美食満腹で深雪充分なハイリターン山行を満喫。別荘オーナーの小見山さん、どうも有り難うございました。
出発の週に入って小見山さんが都合により不参加となったため、角田さんが別荘の鍵と使用説明書一式を事前に預かって行くこととなった。当日、角田さんのお仕事の都合で予定より30分遅れたが、所沢ICから関越道に入り沼田ICより沼田街道を経て順調に花咲別荘地区に入る。しかし、深夜初めての訪問先でもあり別荘を間近にして別荘を探しているうちに凍結した坂道でスタック。FF車の駆動輪が空転し車体が斜めになり身動きできないため、急遽ショベルで雪を掘りゴムチェインを両前輪に装着し、横道奥斜面に建つ小見山別荘に無事到着。
客を待つ宿屋とは違い、別荘では電気、水道の開栓やら暖房点火等なすべきことが多い。それを全部やっていただいた角田さんに感謝。小1時間かけひととおり無事セット出来たところで、疲れた関さんはそのまま就寝。あとの4人はビールで乾杯し日本酒も。1時間ほど飲んで就寝。
今回初めて山スキーをする角田ジュニアはクライミング・スキン(シール)入りのザックを家に忘れたため、ヤマト運輸即日便での配送手配を家人に依頼。今日のところは別荘にあった木製カンジキを使わせてもらうことで出発。スキー場では昨年まで運行されていた第3高速クワッドが運用中止となり、遅い第2ロマンスリフトと新設された第7ペアリフトを乗り継いで上部に上がり、さらにリフト2本乗り継いで、やっとリフト最高点に到着。
冬山経験豊富な中館さんが手助けし角田ジュニアのスキー靴にワカンを装着。角田シニアがジュニアのスキーをザックに着けて出発。快晴の好天下で快調に登るが、関さんと中館さんが遅れ気味。結局、角田父子が先に行き、小生がスウィーパーとなってゆっくり登る。それでも50分で潟見さん似の銅像が待つ山頂に到達。シールを外して、いよいよお待ちかねの十二沢深雪滑降。
気温はマイナス4℃で風も弱く、20cm程の深雪はパウダーとは言えないが充分に柔らかく、周囲の山々を眺望しながら十二沢源頭部の快適な滑降が続く。途中、角田さんが何回もビデオを撮り、夕食後の酒のツマミを作る。準指導員の資格を昨年取った角田シニアの安定した流れるような滑りの後は、早大基礎スキー同好会4年生の角田ジュニアが続く。ジュニアは初めてのバックカントリーとは思えないスピード感溢れるダイナミックな滑りを披露し、経験だけは長い我々3人とは異次元の滑降技術を見せてくれた。
ゲレンデ食堂で一服してから再度、前武尊に登る。今回も体力差のため登高オーダーはバラケながらも50分で山頂に到着。午前とは滑降ルートを変えてシュプールの少ない東寄りの崖近くから滑る。しかし午前とは違い気温は0℃まで上がり、太陽光で雪面が融解し氷化した厚めの最中状態となり板が引っ掛かるが、そこを何とかこなしながら滑る。途中また何回かビデオを撮りながら沢底まで滑り降りる。日陰で柔らかい雪の感触を味わいながら気持ち良く第6リフト脇のゲレンデに出ると、待ち受けていたパトロール隊員に停められ、「山からゲレンデに出る時は板を担いで歩いて出てください」と注意された。
日没が近づき氷化したゲレンデを滑り降り、小生を除く4人は未だ滑っていないゲレンデを滑るため第4リフト乗場に向かったが、小生はもう充分とセンターハウスに入り、お得なケーキセットでコーヒータイムを楽しむ。そのうち角田Lから「直接駐車場で再集合」との携帯電話を受け、第3駐車場の角田車脇で待っていると、程なく角田シニアは現れたが、残り3名はさらに下の駐車場まで連絡路を滑り降りて行くのが見えた。下の駐車場に立ち寄り3人を無事収容。
車で10分の小見山別荘に戻り着替えてから、買出しのため沼田街道沿いの平川にある食品スーパーに行き鍋用食材等を大量に買い込み、酒屋にも寄り多量のビールと川場村地酒「谷川岳」純米酒1升を仕入れる。それから片品村営温泉「花咲の湯」に向かう。駐車場は満杯、下駄箱も一杯で果たして入浴出来るか心配になったが、芋の子を洗う感じで何とか入浴。花咲の湯では事情あって予定より時間を要したが別荘に無事帰着。
さあ夕餉の時間とばかり中館シェフの指示の下、皆でビールを飲みながら手分けして食材の下拵えに励む。鍋の味付けはチゲ派、味噌派、ポン酢派と分かれているため、中館采配で水炊きにして各自が小皿で味付けすることとなる。先ずはブリの刺身、ホタルイカの膾、刺身コンニャク等々が食卓を飾る。別荘では大型ボンベは使わずカセットコンロを常備。卓上鍋で白菜、ねぎ等の野菜と鮭やホタテを入れた海鮮鍋を作り、中館シェフのアイデアで薄切り豚肉も追加投入しコクのある味を出す。冬は鍋に限りますね。酒をふんだんに飲みながら、皆よく食べる、食べるわ!食事の後はビデオ映写会。皆自分の技術が自分が思うより下手と判るため反省一方ながら、角田父子は基礎スキーにさらなる磨きをかけるためか一番熱心。それが技術向上への原動力か。
昨夜遅くまで飲んだ疲れか、皆ゆっくりと起き出して朝食の準備。小生がシジミで出汁を作り、昨夜の残り鍋に野菜やうどん玉と一緒に入れて、中館シェフが味噌で味付け。具沢山で量も多く身体の芯から温まる。角田ジュニアは早朝独りコンビに行き、昨夜届いたシール入りザックを受け取った由。ご家族の協力もさることながら、日本の宅急便サービスは素晴らしい。
今日は快晴で暖かかった昨日とは打って変わり、雪模様で肌寒い。低速リフトを4本乗り継いで終点。角田ジュニアはシール登高にも直ぐ慣れて父子は先を行く。関さんは体調不良かシール登りで何度か転ぶ。昨日の疲れも残るうえ強風にも見舞われ、本日の登頂には70分を要した。前武尊頂上での気温はマイナス8℃で頂上付近の雪面は硬化している。関さんは途中までとの了解で、荒砥沢に下降。荒砥沢上部の雪面は昨日かなり人が入ったせいか荒れている。それでも北側斜面のせいか、有り難いことに柔らかい深雪が残っている。関さんは1900m地点で転び、起き上がるのに苦労する。角田Lと相談した結果、関さんには申し訳ないけれど今日の体調からして滑りはこれまでとし、先に独りゆっくりと頂上へ登り返していただくこととなった。
下方から登り返して来た単独行者に状況を尋ねたところ、2回滑ったが剣ヶ峰寄りの斜面は人があまり入っておらず雪面状態もかなり良かった由。この情報を受けて北寄りにトラヴァース。其処からの滑降は正に当たりでパウダー三昧。荒れてないうえ雪も軽くてフワッと舞い上がり、久しぶりに快適な滑りを満喫。しかし、今回は上で待つ関さんのことも気がかりなので、谷が狭くなる何時もの所までは滑らず、1800m地点で滑降を終了しシールを装着。登る途中で関さんとも合流し1時間かけて山頂まで登り返した。小生のColltex ct40非糊型シールは手で押して張っただけでは低温下では剥がれ易く、一度雪が入った部分では付着性が一気に落ちるため直し直し登った。次回は圧着用スクレイパーや雪落しブラシも持って行こう。
山頂に戻ると雪は止み視界も良くなった。いよいよ最後の滑降。角田L方針でまた東寄りの崖までトラヴァースして急斜面から滑る。やはり雪面は硬く重いが、少し雪が降ったお蔭で一部吹き溜まりでは快適な滑りもあった。曲がり難い雪面状態の下りでは中館さんが転ぶ回数が多くなり、スウィーパー役の小生は気が抜けない。待って待ってから一気に滑ったりして何とか楽しみながら下って行く。第6リフト脇に出て視界が優れないなか滑っていると、いきなり氷化した塹壕状の溝に落ち込んで小生も転んだ。昨日パトロールに歩いて出ろと言われたことを思い出した。どうもこの機械掘りの人工的な溝はスキー場が設置した不埒者を懲らしめるワナのようだ。
日曜日の午後になればもう人影が少ない。エキスパートコースでまた最後のビデオ撮影。角田父子に関さんは撮ってもらっていた。あとはノンストップで緩斜面から連絡路に入り一番下の駐車場脇まで滑り込む。お疲れさま。皆無事に下山出来て何より。
別荘に着くと持帰り荷物減らしを兼ねて、残り物食材で打ち込み鍋うどんを作り皆腹を満たす。昨夜、今朝、今(4時頃)と3回も同じ鍋で汁を残し続けて食べたので、様々な食材の味が良く出て円やかで旨いのは怪我の功名か?それでも残った食材やら各自の荷物を車に運び入れ、部屋の掃除をして掃き出し窓のブラインドも閉め、電気ブレイカーも落して外に出る。角田さんは床下に入り水道や温水ボイラーの水抜き作業。マニュアルと首っ引きで結構大変、何回かやり直してやっと終了。別荘の管理作業は慣れていなければ苦労するものと実感した。
帰りは、昨夕沼田街道で見た上り線交通渋滞は日曜日なら悪化すると予想し、沼田街道を避けて背嶺隋道を抜け川場村経由で沼田ICに向かう。沼田街道に出るとやはり高速道への車の列。それでも、さほど時間が掛からず関越道に乗れて一路東京へ。高速料金割引制度縮小の影響で以前より交通量が減少しているのか、一部ではノロノロもあったが概ね順調に進んで東京へ。しかし最後の最後になって、小田急線に送ってもらうと人身事故のため一部不通で小生帰宅不能。改めて最寄りの京王線駅まで送っていただく。運転していただいた両角田さん、どうも有り難うございました。さらに後日、別荘の鍵と使用料を小見山さんに届けていただき有り難うございました。