ゆざわ健康ランドに前泊して車2台で土樽駅近くの毛渡沢橋に向かう。藤澤車をデポし、角田車で平標山登山口の駐車場へ移動。駐車場は除雪済みで既に十数台駐車していた。
ややわかりにくい林道を歩き、別荘地を過ぎると雪が繋がってきたのでシールを貼る。ヤカイ沢の橋を渡って登りルートを探すが良くわからない。適当な小道を入ってしばらく進むと道がなくなり後は藪こぎになる。雪が少なくてこんな事になっているようだ。行き詰まってスキーを脱いで藪を越えたあたりから何とか順調に登れるようになる。
登山口にあれだけ車があったのにヤカイ沢沿いを登るグループはいないようだ。1650m位から尾根に取り付く。前日に新雪が降り、林道歩きでシールを濡らしたりしたために、シールに雪が張り付き下駄のようになってきて難儀する。稜線に出ると多少クラスト気味になるがむしろ登りやすい。快晴で気温も低めなので登るにはかなり快適だ。概ね雪は繋がっているものの時々藪こぎでスキーを担ぐ。特に夏道と合流する手前の急登は長い藪こぎがあって苦労した。
合流点から先の夏道の階段が既に出ていて、石黒はそのままスキーを担いで夏道、藤澤さんは右側から回り込んでシールで登ったが山頂到着はほぼ同時。天気が良いのでたくさんの人が登ってくるが、山頂にはスキーで来たのは他に一組だけ。
景色を堪能した後に西ゼンに向けて出発する。山頂からは直接入れないので一旦コルに降りる。昨夜降った雪で滑りにくくなっているかと思ったが、気温が低かったために良い状態を保っており快適なパウダー。1600m付近の急斜面上まではファーストトラックを気持ち良く滑ることができた。
1600mからの急斜面はスキーヤーズライト方向から入ると上から滑れたが、レフト側から入ったので途中からのエントリーとなる。急斜面をこなし、しばらく滑ると第2スラブの上部に出た。少しは滝が出ているだろうと予想していたが、既にかなりの幅で滝が出ていた。
石黒が先頭で左岸側を横滑りで降りていくと、途中から更に傾斜がきつくなり下が岩場となっているので安全の為にロープを出す。藤澤さんのロープワークによって無事に降りることができたが、かなりもたついて時間をロスしてしまい日頃の練習が必要だと思った。ここを過ぎると傾斜は緩くなったが一面のデブリランドとなっている。雪質もすっかり悪くなってきたので慎重に高度を下げる。危険地帯を通過し毛渡沢合流手前の小高くなっているところで休憩する。
毛渡沢との合流点には幸いスノーブリッジが架かっていた。対岸に渡ってしばらくすると崖になって行き詰まる。戻るのも大変なので藤澤さんを先頭に徒渉する。石黒はバランスを崩してブーツが浸水してしまった。前回来たときのことは良く覚えていないが、”ハイグレード山スキー”によると、群大ヒュッテまでに対岸に渡らなくてはならないらしい。
またまた藤澤名人に渡渉ポイントを見つけてもらい、今度は全員無事に対岸に渡る。ここからはやっと順調に進む。快調に下っているとユンボが停まっている。覚悟はしていたがかなり除雪が進んでいるようだ。しばらくは道路脇を滑ったが、毛渡沢橋の約3km手前からスキーを担いで35分ほど歩くことになった。
予想以上の悪条件が重なり行動時間は10時間になってしまったが、ヘッデンのお世話にもならず、全員無事下山できたので良しとします。潟見さんは60代最後のツアーだそうですが、終始お元気で自分の20年後は無理だなと感じました。時期的に遅く核心部の西ゼンを滑ることはできなかったが、変化に富んだ記憶に残るツアーとなりました。
(石黒記)
潟見さんと角田さんは所要により帰宅したので今日は3名。谷川岳〜万太郎山の予定だったが、ネット情報によると雪解けでかなり条件が悪いようなので急遽予定を変更する。予報によると今日はかなり気温が上がるらしい。昨日の疲れからあまりテンションが上がらない。しかも白毛門もかなり上まで登らないと雪がないようだ。もともと朝一番の列車で土樽から土合に移動する予定だったので越後中里に泊まった。
朝食を普通に食べてから土合まで移動したので登山口到着は午前9時になる。急いで準備をして登山ポストに登山届を提出して登り始める。白毛門まで標高差1000mほど登らないと、また歩いて降りなければならない。
登山口から急な斜面が続くが、登るにつれて傾斜は更にきつくなってくる。岩や木の根だらけの道を兼用靴で降りてくるのは考えるだけで嫌になる。昨日と違って暑くてたいへんだ。
地形に変化がないので標高で300mを目処に休憩する。中川さんは思ったよりは早いがそれでも休憩毎に10分くらいは待つ。1200m付近から雪が繋がってきたが傾斜が急なのでシール登行は無理。しだいに単調な登りに飽きてきた。地形図の1484mの松ノ木沢の頭に近づくと山頂がはっきり見えてくる。まだまだ遠くに見えるが標高差240mなので実際には楽だろうと無理に思い込んで最後の登りにかかる。
鎖場を越えてやっと白毛門に到着。登山口から4時間余り、疲れたと言うより長かった。赤倉沢も反対側のウツボギ沢も見える範囲では十分に雪が残っている。朝日岳周辺はまだ真っ白で気持ちの良さそうな斜面が続いている。来シーズンはぜひ滑ってみたい。
稜線直下はブッシュが出ているので、笠ヶ岳側に少し進んだ稜線から20mほどスキーを担いで降りる。少し急な適度な傾斜の疎林が広がっている。藤澤さんを先頭に滑り始める。滑りやすい湿雪でかなり快適。調子の乗って滑っているとバランスを崩して転倒。その後もビデオを撮っている藤澤さんの前で停まろうとして派手に転倒。脚に疲労がたまっているようだ。標高1200mあたりから沢が狭まってくるが、湯桧曽川出合まで雪が途切れることはなかった。
懸案の湯桧曽川のスノーブリッジはクラックが入っているもののまだしばらくは大丈夫そうで、問題なく対岸に渡ることができた。ここから土合まで距離はあるが何とかなりそうだ。残りの水が少なくなってきたので湯桧曽川で水を補給して出発する。
古い足跡が続いている。熊かと思ったがアイゼンの跡だった。芝倉沢、幽ノ沢、一ノ倉沢、マチガ沢と全て渡渉が必要だったが概ね順調に進む。マチガ沢を越えると東屋があり、その先で右手に林道が現れる。ここからスキーを担ぎ、思ったより早く土合に戻ることができた。今日は珍しく一度もシールを使わなかった。たまには担いで登るのも良いがやはりシールは偉大な発明だと思った。
(石黒記)