2013年1月 妙高山行報告

1月25日(金) 天候:晴れ(現地雪)

21時20分、京王・明大前駅出発(中川さんと守谷は深井車、藤澤さんは石黒車)。東京は晴れているが、今晩から寒気が流れこみ妙高付近は大雪の予想である。静かなテント泊か暖かいランドマーク(仮眠ができる温泉施設)泊かなかなか決まらなかったが、最終的にテント泊ということに決定。
「道の駅しなの」の一建物の脇、屋根のあるスペースに2つのテントを設営した。コンビニで購入した酒をいただいてから就寝。今回、初の麓テント体験、かつ寒波襲来なのでどうなることかと案じたが、深井さんの冬用シュラフのおかげですぐに寝付くことができた。


1月26日(土) 天候:

道の駅しなの6:30=杉野沢駐車場7:00=ペンションぷるーく8:00(出発10:00)−ゴンドラ山頂駅11:00−カナメ11:40…1700m地点12:30(滑降スタート13:10)−池の平スキー場中腹(15:10)−Mt. Myokoシャトルバス乗り場15:30(バス出発16:08)=宮前(16:23)−杉野沢(16:45)=ペンションぷるーく(17:00)

朝6時に起床してテント撤収。杉野沢駐車場へ向かう。ゲストの小橋&佐藤夫妻は朝東京発でCR-Zで現地集合。この大雪でFF車は辛かろうと思ったが、既に我々よりも先に到着されていた。ペンションぷるーくは言わずと知れた深井さんの常宿だが、冬は車が入れないほど高い場所に位置する。杉野沢駐車場まで「変な雪上車みたいなので迎えに来てくれる」とのことだったが、一目見て納得。1BOXカーに△の車輪を付けてキャタピラを巻いた改造車だった。個人的にこういう原始的な改造車は好きなので標高を上げていくにつれて山スキー気分が盛り上がる。
宿に着いて一呼吸整えた後、本日の行動について相談する。大雪で無理はできないので、杉ノ原ゴンドラから林道を辿ってカナメから尾根に取り付き、行ける所まで行って赤倉温泉スキー場に降りるルートにしましょうということになった。ペンションから滑って第2ロマンスリフト(1回は無料!)に乗り、ゴンドラ乗り場まで軽い足慣らし。杉ノ原ゲレンデは圧雪されたバーンに新雪が積もり、雪の感触が心地良い。
ゴンドラ山上駅でシールに履き替えていざ新雪の世界へ。予想通りトレースは無く、最初は「ホンマに行けるんやろか?」と心配したが、CLの深井さんの足取りは逞しく、ずんずん雪の中をラッセルして行く。林道出合までは下り基調でシール付+ヒールフリーで滑る箇所もしばしばだった。できるだけ後傾を保って滑り何とか林道に出る。ここからはしばらく緩い林道登りだが、所々あるオープンバーンのトラバースは雪崩の危険性を考えて間隔を開けて進み、カナメ手前の尾根への取り付き地点に到着。軽い休憩の後、いよいよ本格的な登りに入る。途中トップを藤澤さんに代わった後、ゲストの小橋さん、佐藤さん、次に私に変わったが、情けないことにペースを落としてしまった。春の八甲田でこれぐらいの傾斜は負担ではなかったのだが・・・。
厳冬期BCのラッセルの厳しさ、日頃のトレーニング不足を実感した瞬間だった。そんなこんなを繰り返していくうちに深井さんから「ここで登りは終了!」との声が・・・1700m地点に到着である。下を見るとたっぷりと積もった新雪。ちょっと重目の雪なのでちゃんと前に滑るのかなあ、ファットの人いいなあ、と思いながら昼飯のパンに食らいつく。
さていよいよドロップイン。パウダーに期待を膨らませていたが、少し湿りがちの雪は重く、ちょっとやそっとの傾斜では滑らない。先頭の深井さんには申し訳ないが、進まない所はトレースを使わせていただく。ヤブを避け、斜度のある斜面を探してルートを選ぶ。といっても林はそれなりに密なので深雪の中、木を避けながら滑るのはそれなりの技術を要すると思う。いくつかの斜面で深井さんがビデオ撮影する。今回は石黒さんがヘルメット搭載型のビデオカメラで多くの映像を撮られていた。
当初赤倉温泉スキー場の基部まで白田切川右岸のオフピステを滑るルートを予定していたが、斜度が緩く、下りラッセルが延々に続きそうなので池の平スキー場へ出てしまうことにする。斜度が緩いところは深井さんのトレースを利用してスピードをつけてパウダーに入るというコバンザメ滑降で進んでいく。この日ほとんどのルートをラッセルされた深井さんには本当に感謝。スキー場に出る前、小さな尾根を乗り越すのに一度だけシールを装着し、その他は歩いたり滑ったりしながら池の平スキー場へ出た。整備されたゲレンデはスピードが出るので注意しなければならないが、身軽になったためについついとばしてしまう。ゲレンデ基部まで滑ってMt.Myokoシャトルバスに乗る。このバスは赤倉〜杉ノ原間を繋ぐシャトルだが、別に池の平シャトルもあり、バス停の場所など注意が必要だ。宮前で降りて杉野沢駐車場まで歩いた後、例の雪上車でペンションまで送っていただいた。
晩飯後、プロジェクターでビデオ撮影会を行った。かなり長時間の映像を見ることができ、こうした最新技術のありがたみを感じた次第である。

(守谷 記)


1月27日(日) 天候:小雪〜晴れ

行程概要

 夜行バスで朝到着予定の猪俣さんは、雪の影響で乗る予定のバスが欠航となり、残念ながら不参加となる。
 前日からの雪は小降りにはなったが降り続いている。宿で朝食を取りながら相談した結果、ゲレンデを滑ることになった。宿からスキーを履いて滑りだす(9:15)。リフトを1つ乗って結構な混み具合のゴンドラへ。予報に反して空は明るくなってきた。三田原の連絡コースは10:30オープンと言うことでかなりの人が待っている。杉の原へ戻るとまた混んでいるゴンドラに乗らなければならないので、10分ほど待って三田原へ。オープンしたての三田原ゾーンは非圧雪エリアがかなり残っていた。しばらく三田原第2高速クワッドリフトを使い、踏み跡の少ない非圧雪エリアを滑る。上のエリアへ通じる第3高速リフトは一向に動きそうにない。ゲレンデ脇に猿を見つけたりしながら滑り、いいかげん飽きた所で、宿に戻る(12:30)。
 小休止した後、宿の近くで、石黒さん提案のスノーマウントという方法で雪洞作り。まず、雪をざっと踏み固め、いくつかのザックを重ねその上にツェルトを被せ芯にして、そこに雪を盛っていく。後はかまくらを作る要領で、横穴を開けて、ツエルトはそのままで、下のザックを1つずつ掘り出す。最後にツェルトを取り出して、内部を広げれば完成。いい汗をかいた。ドーム型は強度があるので、3人ぐらい上に乗っても大丈夫だった。



 残った時間でビーコン探索練習をする。深雪の中、ツボ足での探索だったので結構大変だった。ゲストの方にとってはビーコン機種選定の目安になったことと思う。
 帰りは背負える荷物を背負い滑って駐車場へ。残りの荷物は宿のスノーモービルで運んでもらう。昨日の帰り車の雪はひと通り下ろしたが、一晩で更に50cmほど積もっていた。雪を下ろし車を駐車場から出すのも一苦労。プルーク所有の赤倉のリゾートマンションで入浴後、高速に乗り、松代PAで夕食後解散となる。

(藤澤 記)


積雪安定性評価ワークシート

場所:妙高赤倉山
日時:130126
時刻:
分析者:S.Fukai
Class1安定性要因
雪崩発生状況とテスト
 雪崩観測なし
 スキーカット結果なし
 標高1350mの沢地形で小さなワッフ音
Class2積雪要因
積雪テスト
 SE斜面1700m25°風下の吹溜り斜面
 CTM(13)B@50cm↓onMFcr
重要な弱層、埋没した日・種類・深さ
 約50cmの新雪層の下に5mmの薄いクラスト、上の□は確認できず
積雪構造、スラブの特性
 日射の当たる斜面の新雪層下に0124クラスト層
積雪、深さの多様性・斜面利用状況と圧雪具合
 風の影響により積雪量に多様性あり(尾根上40cm、風下50〜70cm)
 斜面利用は少ない
Class3気象要因
風:現在、M〜S・W
降水量:現在、S-5 130125夜から26朝まで40cm以上の降雪あり
飛雪:現在、あり
気温:〜(雪の掲示板にて-16,5(1850m,1300)℃)
雪温:〜
日射:なし
貫入:〜
沈降:なし

積雪安定性
ALP:不明
TL:Good 日射の影響ある、ノール状地形、急斜面のL雪崩に注意
BTL:Good 日射の影響ある、ノール状地形、急斜面のL雪崩に注意

地形移動の際の留意点
 風の影響を受けた積雪のために滑走性が悪く、急斜面でないと滑らない。
現在クラストとの結合は悪くないが、今後の変化とスラブの形成に注意。

(深井 記)