金曜日夜に東京を出発して、山形県舟形町の小国川河川公園にテント泊。ここはキャンプ可の公園なので道の駅などと違って朝はゆっくり出発できる。天気は遅くなるほど良くなるようなので、近くの若鮎温泉で朝風呂に入ってから大清水(おしず)に向かう。山菜採りだろうか手代林道は交通量が多い。駐車場には10台ほど車が駐まっていた。鳥海山頂付近まで見えるが何となく怪しい天気。遠くで雷もなっている。登山道に入るとすぐに大清水小屋と大清水避難小屋がある。今日はどちらも宿泊者がいるようだ。
ここから1,200m付近まではスキーを担いで夏道を登る。1週間前に地元の本荘山の会が登ったときは小屋付近から雪がつながっていたそうなのでかなり雪解けが進んだのだろう。だんだん雲に覆われてきて降ったりやんだり。雨が強くなるたびにブナの下で雨宿りをするのでなかなか先に進まない。途中で雨のために引き返してきたグループとすれ違う。雪がつながるのはまだ上の方とのこと。そのうち予報通り天気も回復してきた。
大倉の少し上から続く木道の終点付近(1,200m)でやっとシール登行ができるようになる。ここからは順調だと思ったが中川さんが異常に遅い。振り向くたびにどんどん離れていくので下山しているのかと思った。一方、猪俣母さんが快調で私の後にピッタリくっついている上に、もっと早く登れと言いたげに何度も後からスキーで突っついてくる。いろいろあったが、まもなく夏至だけあって明るいうちに唐獅子平避難小屋付近に到着。
小屋はコース上からは見えないので入口を探すのに多少手間取る。小屋の周囲には既に雪はなくて強固な藪に囲まれていた。マットレス、毛布、トイレ完備でこの時期は小屋脇に水場もある。また噂通り石油ストーブまであった。水場でビールを冷やしている間、小屋の中でごろごろしていると本当に気持ちが良い。猪俣さん(と中川さん)が食当なので、次々においしい料理が出てくる。お酒を飲んでいるうちに石黒はいつものように良い気分になって寝てしまう。小屋の外が騒がしいので目が覚めると、みんなは満天の星空を見て盛り上がっていた。標高が高いにもかかわらず夜は暑いほどで、朝起きたときにはシュラフから抜け出して寝ていた。
未明は風が強かったが6:00に起床した頃は無風・快晴で、小屋の外に出るだけで汗ばむほど暑い。山頂(外輪)までくっきり見える。登ってみなければわからないが、なんとか雪はつながっているようだ。中川さん謹製の納豆うどんを食べてから今日ものんびり出発。小屋から外輪までの標高差は530m、宿泊装備も小屋にデポしてきたので昨日より楽なはずだ。登りやすい斜面だが小屋から上も雨溝が深い。何となく体調が悪かったが亮介君に後からプレッシャーをかけ続けてもらったおかげでピッタリ1時間で外輪(虫穴)に到着。
GWにはまだ雪の下だった大物忌神社も今は完全に雪の上。猪俣母さんが亮介君に七高山まで登ってきなさいと強く薦めている。端で聞いていると不思議な親子の会話だ。約20分遅れで中川さんと最後尾でおつきあいした深井さんが到着。結局誰も七高山には行かず、その辺りで景色を見たり写真を撮ったりしていた。そのうち滝ノ小屋から登ってきたおじさんが到着。湯ノ台コースも外輪の直下まで雪があるそうだ。
ゆっくり休んだ後、いよいよ待望のダウンヒルといきたいところだが、強烈な雨溝のおかげで快適にはほど遠い。ガタガタの斜面をなんとか転ばないように高度を下げる。途中の急斜面はなぜかフラットで一瞬だけ快適だった。けれども直ぐにまたガタガタ。小屋の手前で昨日引き返していたグループが登ってきたのとすれ違う。このところずっと雨が降っていてこんな斜面になってしまったそうだ。唐獅子平小屋に到着。
登るより滑る方がずっと疲れた。デポした荷物を整理して小屋を後にする。また泊まりに来たい快適な小屋だった。延々とガタガタ斜面を滑って、ようやく昨日シールを付けた場所に到着。ここからはスキーを担いで夏道を降りる。大倉滝を見下ろすところで小休止。雪解けのために増水して滝はかなりの迫力だ。新緑と残雪のコントラストが美しい。あとは駐車場を目指して降りるだけ。いい加減飽きてきた頃に大清水に到着。雨溝のせいで滑りは今ひとつだったが、参加メンバーと天気に恵まれ楽しいツアーになった。
(石黒 記)