宿泊手続きをすませ、ひっそり閑とした大町駅前を散策、夕食。こんな機会もなかなか良かった。
昨夜はおいしい外食とホテルのベッドで十分休めたので元気溌剌、新緑の山道をしばらく歩き雪渓に出る。少しシール登行して朝食。何組かのパーティを見る。マヤクボ沢に入るあたりで、スキー協の三角旗をストックにつけた人をみたので、直井さんが声をかけたら三多摩のパーティだった。やはりこんな出会いはうれしい。マヤクボ沢源頭の大斜面を我々は南よりに登った。
はじめは疎林の間を登るのでなんとなくキックターン時に安心。急斜面に慣れてきた頃に稜線に出た。潟見さんは持病の筋ツリ(筋肉けいれん)を用心してここで休息、直井さんと岡安は大展望の頂上へ。無風、快晴で雪質よく、コース取りよく、見上げるような大斜面を楽に登り、ここにいる幸せをかみしめた一時でした。潟見さんの待つ稜線デポ地で滑降準備。この時直井さんがクトーをなくしているのに気づく。直井さんのすぐ後ろについて登っていた岡安も気がつかなかったのだ。
岡安はついこの間ヨーロッパ・オートルートで十二分に滑っていて滑りはもう十分状態、晴天時の針ノ木岳登頂が出来て大満足なので、直井さんに付き合い、シールをつけたまま登ったルートをゆっくり落としたクトーを探しながら滑るが見つからない。マヤクボ沢出会いに近くなった頃には足が疲れてどうにもならなくなり、お手上げに。「『このスキーは古いので買い換えろ』の天の声ですよ」との直井さんの言葉に全員納得。三人で荒れた雪ながらまだまだの残雪スキーを楽しんで新緑の山道に出て終了。名残りの山スキーもいいものだ。残雪の匂いをかいだ気がする。21年のランドネ在籍で、なぜか針ノ木岳スキーは初めてでした。こんなに手軽に良い山スキーが出来るとは知らなかった。
良い山、良い行程、良いペースで私のランドネ最後の山スキーに付き合って下さった直井さん、潟見さんに厚く御礼申し上げます。
(岡安 記)
針ノ木岳雪渓
針ノ木岳手前の稜線
針ノ木岳頂上から黒部湖を見る
針ノ木岳ルート図