藤澤車と阿部車の2台に分乗し、関越道から上信越道に入り長野に向かう。24時ちょうどに長野ICを出て、道の駅「小谷」に向かい、到着後6人用テントを設営し、軽い酒宴の後仮眠に着く。
山頂を目指すには早い出発が大切との判断の中、5時に起床し、さっと朝食を済ませ小谷温泉の山田旅館を目指す。そこから先は鎖で塞がれ車は入れない。除雪された林道を歩かなければならないが、幸いなことに前日の降雪のおかげかシールで栃の樹亭まで歩く。そこから先は除雪されていないので、気持ちよくシール登高をする。林道をショートカットしながら、昨年テント設営をした場所(1140m)に到着。テントを2つ張りすぐに出発。
天気は予報と違い快晴無風、ボードとスキーの混成チームも先行しており、気持ちの良い山スキー日和である。トレースをたどって進んでいると、それがP2に向かっているトレースだと気が付きすぐさま戻る。山頂まではほぼ夏道と同じルートをたどるようだ。大海川に沿って平坦な林道を進み、1212ピーク付近の急な尾根に取り付く。昨年の反省点を踏まえ、今年は登りすぎないで右にトラバースしながら、荒菅沢の下の方から横断をしようと試みる。途中、好天の中気持ちよく登れるので、木村(ゆ)さんが「これなら山頂まで楽勝ですね〜」と明るい声で話すが、このあとの厳しいことをだれが予想しただろうか・・・。
標高1510m地点の深い荒菅沢の淵に立ち、シールを付けたまま下降しようか、外して滑走しようか迷ったが、ピットを掘った後、藤澤Lの判断のもとシールを外し滑走することになった。前日降った新雪の上を気持ちよく一人ずつ滑った。シールを付けて登り返しているうちに次第にガスがかかり天候が崩れていくのがよくわかる。そのうちに雪と風が強くなり視界も悪くなる。尾根に乗ろうとするがヤセ尾根で難しい。板を脱ぎつぼ足で50mくらい進むが、ホワイトアウトの中、これ以上は危険との判断で1790mの地点から引き返すことになる。視界の悪い中来たルートをたどり、荒菅沢で登り返してテン場に戻る。一つのテントに6人が入り、各自一品持ち寄った酒のつまみで乾杯をし、木村(ゆ)さんのポトフに舌包みを打ちながら、楽しい酒宴が夜遅くまで続き、その後就寝となる。
荒菅沢から見た雨飾山
起床し、曇天の中湯峠を目指して進む。左に巻いて鎌池の方から林道を登っていかなければいけなかったが、右寄りに進んでしまい登り降りを繰り返してしまった。湯峠を越え尾根に取り付き、高度を上げていくにつれて急斜面になる。先行トレースの跡をたどりながらも、先頭を行く山科さんが山屋の本領発揮と言わんばかりにガンガンと進んでいく。
山頂直下は急斜面なので距離をあけながら進み、平らなところでほっと一息休憩をする。そこからは山頂まで平らな雪面を歩き、やっと山頂に到着。視界は良く、昨日敗退した雨飾山の雄々しい姿を目の当たりにする。昨年と同じ、悔しさと複雑な気持ちで見つめる。風も強くなく、その場で由佳里さんが作ってくれたハムチーズマフィンでゆっくりと昼食をとり、記念撮影をした後少し下りたところでピットを掘る。雪は安定しているとの判断で、予定通り北斜面を滑走する。リーダーを先頭に一人ずつパウダーを堪能する。最高の雪質と斜面である。3本くらい気持ちいい滑走をしたあとは次第に重雪になり、1120m付近から湯峠方面に登り返す。後は滑らない平らな林道をひたすら漕ぎながらテン場に到着。テントを素早く撤収して山田旅館の温泉を目指す。綺麗になった旅館の温泉で汗を流し、疲れ切った体を癒しながら、蕎麦を食べて長野ICから東京に帰る。
今回も雨飾山登頂という目標は果たせなかったが、荒菅沢を越せたという点では収穫があった。恵まれた天候と今回以上に早い出発ができれば、登頂はできるのではないかという感覚は持てた。また大渚山の北斜面滑走も楽しめるルートである。
(記録:角田)
大渚山山頂で雨飾山をバックに
大渚山北面滑走
雨飾山と大渚山のルート:赤が登り、青が下り