2009年5月 立山・剱岳周辺 会山行報告

5月23日(土) 天候:晴れ

扇沢発7:30=(立山・黒部アルペンルート)=9:30室堂着…雷鳥沢…12:40   剱御前小舎着、発13:20−剱沢滑降(14:50登り返し)…剱御前小舎着17:30


ラ・ランドネ恒例の立山春スキーだが、昨年の荒天・中途敗退をリベンジすべく、雨予報をかわして日程を一日ずらし出発した。途中のアルペンルートではロープウェイの窓に張り付いて残雪を観察。晴れ渡った室堂で前日入山しておられた榊さんの出迎えを受け、剱岳、立山連峰に囲まれた大パノラマの景観にため息をつきながら、雷鳥沢下までスキーで称名川沿いの斜面をトラバース移動する。
寡雪だった今シーズンは融雪も例年よりすすみ、めざす剱御前小舎は遠く岩石の稜線上に見えている。標高差480m。77歳の榊さんも確実なペース配分で、休憩を含め約2時間のシール登行だった。地肌が露出した尾根直登ルートを歩く先行者達に惑わされず、深井Lが採った小舎直下への雪面トラバースルートは板を担いで登る距離が短く正解だった。
剱御前小舎の方に頂いた情報では、明日は天候が悪化するとの事。しかも計画している真砂沢は雪の状態が悪く下部は雪渓が割れているそうだ。今日は剱沢上部で足慣らしの予定だったが、リーダーの判断で好天の本日午後いっぱいを剱沢で充分に滑る事にした。
さっそく全員で一旦剱御前側に登り、ダイナミックな剱沢へ一気に滑り込む。向かいの別山側からも他のグループが歓声を上げながらシュプールを刻んでいる。別山側は多少スラフが流れるが、私達の滑る斜面は問題ない。ビデオを撮りながらどこまでも自由に滑っていく。前剱がみるみる近づき、途中、榊さんは体力温存の為、早めに登り返しを開始する。他の6名は平蔵谷を過ぎ長次郎谷付近まで滑ってストップ。眼前の谷間からは鹿島槍や五竜の山並が見とおせる。長い登り返しの慰めは黒と白の換羽期の雷鳥だ。
夕方の剣御前小舎からは雲海が白く光り、そこに浮かぶ室堂のアイスクリームが融けだしたような風景がなんとも美しかった。小屋番の方が例年より3週間から1ヶ月程雪解けが早いと教えてくれた。夜には富山湾の漁り火も点々と見られたが、深夜は雪が舞っていた。しかし思ったより気温は下がらず、清潔な布団でゆっくりと眠れた。

(由布 記)


5月24日(日) 天候:曇時々雨

7:35剱御前小舎前・・・7:50雷鳥沢滑降開始― 8:20雷鳥沢下・・・9:00〜10:20雷鳥荘・・・10:35滑降開始― 10:50〜11:10沢下・・・11:50〜12:10雄山下― 13:00雷鳥荘

朝、目を覚ますと、辺りは真っ白。しばらく唖然。天気がくずれると聞いていたが、まさか雪が積もるとは。もはや真砂沢どころか劔沢も滑らず、温泉直行?ガスも出てるし、風も強い。いつ雷鳥沢を滑り降りるかが問題だ。6時半には朝食を終え、8時出発という事になった。でもしばらくすると、みぞれも止んでガスもなくなる。とりあえず視界がある内に、と出発を早める。深井Lによると、深夜に雨が雪に変わったそうで、薄い雪の下はぐさぐさ雪。昨日より滑りづらい。しばらくは視界が50mくらいだったのが、2600m付近でガスが切れて雄大な立山の展望が見えてきた。あっと言う間に雷鳥沢を滑りきる。
8時40分、Tバーは、こんな時間からは運転していない。諦めてシールのまま雷鳥荘まで登る。朝食分くらいの運動はできた、と言う人あり。もう少し待てばよかった、と言う人あり。因みに9時くらいに係りの人が降りてきていた。 こんなに早い時間に着いたのに、快く雷鳥荘の方は部屋に通してくれた。荷物を分けてまだ10時。午後から崩れるという天気予報に加え、すっかり温泉モードになっているもののやっぱりもったいないね、とプチ山行へ出る事に。榊さんに近場の山についていろいろ教えてもらう。調子の悪い榊さん田中さんを残し、雄山方面に登り、12時を目処に滑る事になった。よく見ていると、本当にこの近辺は滑る所はたくさんあるようだ。
一度、沢筋まで滑り降り、シールを張って登りだす。1時間ほどでガスのかかりそうな高度まで来た。これ以上登るとガスの中。ウワサの山崎カールの話をしながら昼食休憩。雨がパラつき始めたのをきっかけに滑降開始。トラバースして、室岡さんが薦めた綺麗に斜面が落ちているという北東よりの斜面を降りる。なかなか気持ちよい。景色も見渡せ快適な滑り。由布さんに試させてもらったワックス効果で、平らな所もスイスイ進む。Tバーを使って雷鳥荘に着いた後からすぐに再びガスがかかり出し、3時過ぎからは本格的に土砂降りとなった。そんな中展望風呂にゆっくり浸かり、談話室でのんびり酒盛り。まったりした中日一日となった。

(加藤 記)


5月25日(月) 天候:晴れ

雷鳥荘発7:30…全員合流8:50…一の越・着9:30発10:00─…東一の越・着11:00発11:25─黒部平・着12:20 =(立山・黒部アルペンルート)= 扇沢・着2:00


目が覚め窓を見ると明るい。カーテンを開けると青空が目に飛び込む。よーし!たっぷり寝たおかげで体も軽い。温泉に入って地獄谷の噴煙を眺めながらストレッチだ。
 食事を終え7時半に雷鳥荘を出発。昨日シールをはずした所に忘れてきた愛着のナイフを探しに別ルートから一の越方面に行く加藤さん、リーダーの深井さんと別れて5人はシールを張ったスキーをリュックに付け、室堂経由で一の越方面へ。みくりが池横でスキー歩行にし、室堂山荘前でお二人に電話を入れると、ずっと先で待っているとのこと。われわれは三角形の2辺を、お二人は他の一辺を歩いたわけだ。緩い登りから急斜面をひとガンバリすれば一の越だ。前後左右近くも遠くも春の第一級の山岳風景だ。予定の御前谷は行きのロープウェイから見た雪の少なさでその時に無理だとなったが、雄山から御山谷方向も同様無理となり、東一の越まで夏道を行くことになった。
少し滑った後は小一時間水平歩きだ。御山谷を挟んで岩稜が迫り、飽きることもない。東一の越で腹に燃料と気合を入れる。タンボ平はこの山行最後・本年度の掉尾を飾る滑走場にふさわしく滑りやすそうな大一枚バーンだ。深井リーダーを先頭に思い思いのシュプールを描いて滑っていく。気持ちいい。ロープウェイの観光客に手を振り、滑降の撮影をしてくれている深井リーダーの側に。これを見られるのも楽しみが倍加する。林を抜ければ終点、黒部平のロープウェイ駅だ。観光客が話しかけてくる。「どこを滑ってきたのですか。」「あそこからです。」「すごいですねー。」褒めてもらった気がしてこれまた今年度スキー納めにふさわしかった。仲間が30代から70代まで全ていて、安全で楽しく終わったのもランドネらしくこれも良かった。

(潟見 記)


5月23日(土)のルート・・・・赤 5月24日(日)のルート・・・・青