いつもの樹林荘に前泊。6時半に起床するものの、出発する気が起きないほど雨が降っている。とりあえず朝食をとり天候の回復を待つ。10時頃には雪に変わったので下見を兼ねて出発する。小豆温泉スノーシェッド北側の駐車スペースから899m小ピークを目指して登行開始。急斜面で藪も多く多少苦労したがNTTの中継施設がある小ピークに程なく到着。ここから標高1000m付近までは痩せ尾根が続く。
その先は尾根が広くなり快適な斜面となる。1308mの小ピークで本日は引き返すこととする。下りは朝方の雨からは想像できない快適なプチパウダー。1000m以下は藪が濃く多少苦労するが、山スキーに慣れたメンバーばかりなので問題なく駐車スペースに滑り降りることができた。美味しい夕食を食べ、明日に備えて早めに就寝した。
風が強いもののまずまずの天気のようだ。宿の前に停めた車に20cmくらい雪が積もっている。本日のコースは、猟師で周辺の山を熟知している宿のご主人のアドバイスにより、葭ヶ平スノーシェッド北側から大戸沢北側の尾根経由で丸山(1426.7m)〜三岩岳、山頂北東側の1816m〜1699m〜1308m尾根を下降するというもの。途中のアップダウンを含め登り標高差は約1400m、部分的にはラッセルもありそうなので、山頂までは相当時間がかることが予想される。
下山口に車をデポし8:30に登行開始。丸山までの登りは途中から痩せ尾根で木が密生しておりスキーを脱いで通過する。時間、体力をロスしてしまい山頂まで登れるかどうか不安になる。丸山のピークから標高差で70mほど下ると再び急登が始まる。ここから1700mまでの登りが体力的には一番厳しいところ。休めるところがない急斜面を一気に登る。ここで既に12:00となったが山頂まで残り400mほどになり、なんとか山頂まで登ることができそうな気がしてきた。時折突風が吹くなかで凍えながら昼食を食べる。1750mから傾斜は一段落するものの風が強くアイスバーン状態になった斜面を慎重に登る。順調に高度を稼ぐと山頂手前の三ッ岩が正面に見えてくる。
岩峰の下まではなんとか行けそうだが、その後はどうやって回り込むか下から見ても良くわからない。とりあえず行けるところまで行って様子を見ることにする。カリカリの急斜面を何とか登るが視界も悪くなり進退窮まった感じになっていた時、ひょっこりと上から数人のスキーヤーが降りてきた。我々とは反対回りで山頂から降りてきたとのこと。状況を聞いて逆コースをたどることにする。雪庇を乗り越え北側斜面をトラバースし、急斜面を微妙なバランスで越える。視界が悪くなってきて先の様子が良くわからないが、再び雪庇を越えてなんとか下降予定の尾根に乗ることができた。ここから山頂までは穏やかな尾根が続く。想定していた時間を少々オーバーしたが14:30に三岩岳山頂に到着。
視界不調で景色は何も見えないが時間が押しているので記念写真を撮って直ぐに出発する。雪庇を降りて下降する尾根に入る。しばらくはウインドクラスト&アイスバーンだが傾斜が緩く尾根が広いのでそれほど気にならない。標高1850mあたりから新雪斜面となり粉雪を舞あげながら快適な滑降を楽しむ。登りで苦労したご褒美のように視界も良くなり陽も射してきた。快適な斜面は1350mくらまで続き、時間的にも余裕が出てきたので小休止。
柔らかい夕暮れの陽射しがとても気持ちがよい。強風の中での昼食の時とは雲泥の差だ。昨日の下見によりこの先標高1000mくらいまでは快適な斜面が続くことがわかっていたので、最後のお楽しみを期待して出発したところ突然ひどいモナカ雪になる。それほど大きな斜面変化はなかったにもかかわらず、ここまで急に雪質が変わるのも珍しい。疲労が蓄積した足にむち打ってなんとかなんとか降りてくるが、時折悲鳴や気合いがこだまする。それでも昨日滑ったので安心感があった。
17:00に小豆温泉スノーシェッド北側の駐車スペースに到着。長かったツアーも全員無事に終了した。いろいろな悪条件が重なったなかノートラブルで山頂を踏めたことは参加メンバーの技術・体力のおかげと感謝しています。
(石黒 記)
(登山届提出先)
南会津警察署 地域交通課地域係 TEL 0241-62−1140/FAX 0241-62-5295