朝小雪がちらついてはいたが午後から晴れる予報で8時すぎに宿を出る。高速料金1000円の影響か駐車場は満杯状態で、並ぶのを覚悟でゴンドラ乗り場に行くがほとんど待つことなく乗れた。栂の森からのロープウェーも順調に運び、終点にて係員から入山の注意事項をありがたく拝聴してシール登高をSさんを先頭に開始。
先週来の雪で雪質は良さそうだ。これは期待がもてるかな。すでに先行するパーティーは沢山おり、忠実に後を追う。登りやすい雪もあって約1時間で天狗原に着く。このころから晴れてきて乗鞍岳からのシュプールがいい雪を表現していた。小休止後、広い斜面を乗鞍岳山頂を目指す。問題なく順調に標高を稼ぎ登りきったところから山頂には向かわず南西に進路を変えて山頂の真南で標高2440m付近を滑走出発地点とした。眺望も開け上は小蓮華岳、下は自然園を見渡せた。軽い昼食後、滑走に入るが真っ直ぐ下降するには雪崩の危険があるため左側のやや樹林帯をKさんを先頭に滑り始める。
雪は気温があがったせいで予想以上に重いうえに量が多い。回転も連続的に行うのは困難で少し下っては止まるという状態で進む。ここで段々履いている板の種による差(技術の差のほうが大きいか?)が顕著になってくる。ファット系の板は割とスムーズに回転できるようであったが、ザラメ(ゲレンデ)用板は全く使いものにならかった。ここから誰かさんの極大の悪戦苦闘が始まった。兎に角膝までの深湿雪に板が沈み、トップが浮かない、後傾にも限度がありニッチもサッチもいかない。標高2138mのピークから下がさらに最悪で“こんなの初めてだー”“こんなはずじゃーねー”を連発しながらキックターンすること無数。
下では3名の優秀なスキーヤーが首が痛くなるぐらい上を見上げながら待ちくたびれているのがよくわかった。斜滑降で滑れという声も聞こえてはいたが、板がとにかく滑らない、滑らない。天気が良かったので「もうあせってもしかたがねー」と覚悟を決めて下まで辿りついた。太ももがパンパンで抑えがきかず、自然園を戻るのも苦労をしてしまった。こんなことはもうねーだろうな。あとは林道と樹林帯に別れ、栂の森からはゲレンデを滑り終えた。
(森 記)