2008年2月 裏岩手〜八幡平縦走 会山行報告

2月7日(木)

23:50 東京駅八重洲口盛岡行き夜行バス(らくちん号)で東京を発つ


2月8日(金) 天候:雪→晴れ、歩行距離:12.35km、高度差:770m

盛岡駅着(07:00着08:45発)→網張スキー場(09:45着) →リフト山頂(11:25発) →三ツ石山荘(13:00着、休憩) →三ツ石山頂(14:05着) →小畚山(15:20) →大深岳→大深山荘(17:30着)

出発前、天気予報を日々見ていたが、この長い縦走をする週末はほぼずっと雪マーク。厳冬期であるし、「嵐を呼ぶ男(?)」と一緒だから仕方がないが、ラッセル、停滞もある程度覚悟して出発した。スキー場に向かっている時は雪がちらついていたが、予報によるとこの日は悪くないはず。スキー場を出発する時には晴れて視界も良好になった。ラッセルも思ったほど深くなく、快調に進む。13時にメルヘンチックな三ツ石山荘着。とてもきれいな小屋だと聞いていたが噂通りであった。今度は一度泊まってみたい。
30分ほど休憩したが、天気もいいし停滞する理由がないので、今回は先に進む。小畚山から大深岳までは快晴で視界もよかったが、大深岳山頂に着いた時、急に風が強くなり視界も悪くなる。平らな山頂、少し探したがどこが本当の山頂だかはっきりしない。しかし時間も遅くなったので大深山荘を目指すことにする。山荘は大深岳から少し離れ、森林の中にひっそりと建っていて見つかりにくい。暗くなりかかっていたが、GPSが活躍してくれた。17:30山荘着。こちらも三ツ石小屋に負けず劣らずきれいな小屋だ。この晩は3人用ツェルト内で村上さんのキムチ鍋を作り団欒。夜から雪が降ることになっていたが、外はすばらしい星空だった。21:40就寝。


2月9日(土) 天候:晴れ、歩行距離:15.97km、高度差:664m

起床(05:00)→大深山荘発(07:40)→嶮岨森(08:50)→前諸桧(10:00)→諸桧岳(11:35)→畚山トラバース→車道(13:50着)→藤七温泉偵察(14:15)→八幡平(15:40着)→秋田八幡平スキー場(17:18)→高原ホテル(18:10)

朝、小屋の外に出ると東から太陽が昇っている。西には雲が残っているが、晴天である。「おかしい?!村上さんは一人家でてるてる坊主を作っていたに違いない!!」「嵐を呼ぶ男」は今年は本当に「晴れ男」にイメージチェンジしたらしい。この日はアップダウンの多い、長い行程だったので晴天は非常に嬉しい。ラッセルはあるが、平均しても膝以下だったのも幸運だった。視界もよく、前方には畚山、八幡平、振り返れば岩手山、秋田駒ケ岳がはっきり見え、裏岩手のモンスター達の中の散策はとても気持ちがいいものだった。松川温泉チームは今頃どのあたりを滑っているのだろうと思い、村上さんが電話してみたが、電波は届かなかった。
畚山をトラバースするあたりから藤七温泉の湯気が見えるようになった。夏道と車道が合流する地点から藤七温泉をチェックしに行った。宿は冬季休業だが、小屋前の露天風呂は2つとも湯気が上がっている。小屋まで降りなかったので、お湯の温度はわからないが、来年は「秘密の無人温泉に行く旅」を企画したらどうか、という話で盛り上がる。小屋の間にテントを張れば風は防げるだろうし、温泉で赤ワインを暖めてグリューワインパーティーをしたら、物好きには絶対に受ける企画になるだろう!
見返峠に着いた時、ヴォルフは山頂まで行かずにそのまま車道を行こうと言ったが、これほど視界がいい時も稀なので、やはり山頂までラッセルを続けることにした。山頂近辺に行くと、何パーティーかが山に入っていることがわかった。網張スキー場を出発してから始めての人のトレースだった。八幡平山頂もまたわかりづらい平らな山頂であったが、視界が良かったこの日はモンスター群が広がる景色が壮大だった。
山頂からしばらく行ったところで16:30にこの日初めてシールをはずしての滑りとなった。八幡平ツアーコースのリボンに沿っての滑りは思ったよりも長かった。そのまま一気に後生掛温泉まで滑れるのかと思いきや、大深温泉と蒸ノ湯温泉を通る道に出たところで車道にはシュプールがなくなり、またラッセルしなければならない状態になっていた。シールをつけて秋田八幡平スキー場に登り返して、スキー場を滑る方が早いということになった。17:18にスキー場の一番上に到着、17:22にスキー場入り口到着。歩いて後生掛温泉へ。ところがショッキングな出来事が・・・・後生掛温泉は満室で泊まれないと!!!3日連休だからだろう。しかし通り過ぎてきた八幡平高原ホテルを紹介してくれた。素泊まりでお願いしたのだが、自炊場などないのでキッチンを使わせてもらった。温泉だが後生掛温泉とは水質が違うところだった。
その夜、3者会議。明日の目的地、新玉川温泉から田沢湖行きのバスは冬期は1日に4便しかなく、最終が13:35発。早朝に出れば間に合うかもしれないが玉川温泉でゆっくりというわけにはいかない。今までスムーズにいったので予備日はあるし、せっかく玉川温泉まで行くのだからゆっくり温泉を満喫して帰ろうということになった。長い1日だった。明日の天気予報を見ながら誰からとなく就寝していた。

2月10日(日) 天気:雪、歩行距離:10.5km、高度差:632m

起床(07:00) →八幡平高原ホテル(10:00発) →後生掛温泉裏(10:30発) →国見台(12:07) →焼山山荘(14:00着14:30発) →名残峠→玉川温泉(16:30)

とうとう雪が降ってきた。厳冬期に晴天が3日続く事はないようだ。 親切な八幡平高原ホテルの従業員達が手を振る中、また後生掛温泉に向けて出発。本日の登山道は後生掛温泉裏からスタートするのだが、温泉の中を通っていく。知らなければ迷いそうな入り口だ。前日ツアーに行った人達がいたようで、途中まではトレースがあり、楽させてもらった。栂森をトラバースするあたりから視界が悪く、地形も複雑になってわかりづらくなってくる。
途中からは私が先頭になり「村上リーダー養成学校」となった。しかし崖が多い地形の上、視界が悪い。崖っぷちを歩くのが嫌いな私は、どう滑って転んでも大丈夫なルートを選びがちで、2人に不要なアップダウンを強いる事になったが、体力有り余る2人だから許してもらうことにしよう、と自分だけで納得していた。
途中焼山山荘に入り、ランチを取る。小屋を出る頃、完璧ではないが少しづつ視界がよくなってきた。すると突然湯気の立っている池が出てきた。他の池は全て凍って雪に埋まっていたのに、そこだけ凍っていない。村上さんが「この池は地図でいうと何処?」と言うので確認したが、GPSと照らし合わせても、どうしてもそれらしきものはない。「地図にはありません!」「そんなわけはない。」としばらく喧々囂々。しかし、やはり地図には載っていなかったようだ。
玉川温泉に降る途中から晴れ始め、視界も良くなってきた。通り過ぎてきた所は、見えれば地形がとても面白いところであっただろうに、タイミングが少々残念だった。
玉川温泉までずっと夏道を辿ると、途中から温泉が湧き出る所を通り、雪が溶けてしまっている可能性がある。途中から車道に向けて夏道からそれ、直接スキーで温泉前まで滑り込む。バスの時間でもないのに突然現れた3人を、宇宙人でも見るように、売店に従業員が集まって不思議そうに眺めている。玉川温泉は素泊まりの湯治部門はやっていなかったが、幸い宿泊可能だった。強烈な酸性の温泉で、温泉ボーイ、ヴォルフも大喜びであった。3日間、予備日も使わず、本当にスムーズな山行であった。あとは温泉でゆっくりして、翌日は帰路につくだけである。


2月11日(月) 天候:晴れ

玉川温泉(11:40発・雪上車) →新玉川温泉(13:35発・バス) →田沢湖(14:40着)

本日は朝食、朝風呂、そして帰路につくのみ。田沢湖までは同行、そして田沢湖から村上さんは新幹線で盛岡経由東京行き、ヴォルフと私は秋田空港に向かい、羽田に戻る。

天候に恵まれ、スムーズに岩手から秋田を縦走、温泉三昧の大満足ツアーでした。来年に向けてこの地域での新たなプロジェクトもでき、実りの多い山行となりました。

(大西し 記)