2007年10月 下の廊下 下降 個人山行報告

10月5日(金)

15:30 新宿西口からバス発(村上、大西夫妻乗車。榊は一足早く白馬大町に行き今日は現地でホテルに泊まるとの事)(4人の回数券で購入して1人当て3,700円)
19:30 渋滞もなくほぼ予定時刻に白馬大町に着いた。殆どの食堂が閉まっていたがようやく一軒探し当て夕食を済ませた後、タクシーで扇沢へ行く(6200円)。
22:00 トロリーバスの扇沢駅構内でテントを張る。軒下には既に10張くらいのテントが張られていた。
23:00 アルコールを少し飲んで就寝。


10月6日(土)

5:00 起床、テントの中でお湯を沸かして各自が用意してきた朝食を食べる。切符売り場には長蛇の列が出来つつあった
6:25 今朝6時20分扇沢着のバスで白馬大町から来た榊さんに会う。
7:00 トロリーバスで扇沢発、黒四ダムまでの切符は一人1350円。10kg以上の荷物は別料金として210円が加算される。
7:25黒四ダムで下車し、登山用出口で再度パッキングし、登山開始。
7:47 ダムから一気に標高差100m下り、黒部川に着く。橋を渡って左岸に行き、これから延々と下廊下の下降が始まる。ダムの放水がきれいに見える。
8:45 内蔵助谷出合。ここまでの道は日本のどこにでもある沢沿いの道のような感じで大した迫力もない。3連休の初日とあって非常に大勢の登山客が歩いている。内蔵助谷には少ししか水が流れておらずゆっくりと食事をする。
10:54 水平道から別れてほぼ垂直の梯子段が設置されている場所に来た。看板に「この水平道は荒れているので梯子段を登れ」という意味の事が書いてあり、登山客の内40%くらいの客が梯子を登っている。先頭の村上さんは水平道を採ったが何事もなく進んで行くと梯子道が再び下りてきて合致した。
11:06 別山谷。水平道はこの部分でカットされ、一旦沢床に下りて谷を徒渉し再び水平道に登り返す。谷幅はホンの1m程だがこの徒渉に手間取って50人以上の登山客の大渋滞となっている。
11:30 沢床でゆっくり昼食を取っていたらあの大渋滞も緩和して休んでいる人は10数人になった。この沢床から水平道に登り返す為にカタカナの「コ」の字の鉄棒が岩に数本打ち込んであり、これに手足をかけて登るようになっている。ここに案内板が貼り付けてあり「黒部ダム駅まで8.4km、仙人ダムまで8.1km、欅平駅まで21.8km」と書いてある。ここから先の道は下の廊下の道として僕が日頃イメージしていたような狭い桟道であり、油断したら数10m下をドウドウと逆巻いて流れている黒部渓谷に落ちてしまう。殆ど全コースに渡って壁の腰の高さに丈夫な針金が固定されており、時々その針金を掴んで緊張しながら歩く
13:11 十字峡着。吊り橋が架かっており、「十字峡」という名に恥じない深山峡谷の趣がある。紅葉が全く見られず、もし紅葉が盛りならその赤・黄の色と松の緑がさぞ鮮やかであろう。
15:05 S字峡の東谷吊橋 に着く。対岸に大きなトーチカのような穴が二つ開いていてそこから高圧線が伸びている。この橋を渡ると広場があり、大勢の人が休憩したりゆったりと腰を下ろしてコンロで料理を作ったりしている。近くに大きな人工トンネルがあり、この中にテントを張ったら風雨にも安心であろう。
15:20 仙人ダムの堰堤を渡る。この堰堤を渡ると阿曽原温泉小屋と仙人温泉小屋への分岐があり、我々は阿曽原温泉への道を取る。
16:25 ダムから少し行くと道は急な登りとなり高度差100m程登って水平道となった。しばらく水平道を行った後今度は急な下りとなり、再び川の近くになる場所に阿曽原温泉小屋があった。キャンプサイト一杯に30張くらいのテントが乱立しておりとても我々の7人用の大きなテントが張れる余地が無い。村上さんが方々探してキャンプ場から露天風呂に下りる途中に絶妙な場所を見つけて来てくれた。一人につきテント代(500円)と入浴台(300円)を払う。
17:00 キャンプ場から露天温泉に行くには黒部川の方に距離にして50m程下って行かねばならない。脱衣所は無く、近くの洞窟の中か草の上で着替える。夕方からは1時間おきに男女の交代制になっていて17時半から女性の番となっていたので最初混んでいた浴槽も急に少なくなった。
18:30 今夕のメニューは僕の担当でありレトルトのご飯とカレー、それにラッキョウであった。
21:00アルコールを飲み就寝。美しい星空である。


10月7日(日)

4:30 起床。当初の予定では今日は仙人温泉小屋→仙人池→真砂沢に行き、明日は真砂沢→ハシゴ谷乗越→内蔵助谷→黒四ダムに戻る筈であったが、榊さんが下痢気味との事で村上リーダーの判断により全員で欅平に下りる事になった。
5:40 村上、大西夫妻の順に朝風呂に行った。彼等の他には誰もいなかったとの事。
8:30 テントを撤収して出発。荷物を担いでキャンプ場まで上がってみると殆どのパーティーは出発して昨日の混みようが嘘のようであった。道はいったん急登し、標高が約960mになった所で水平道となる。今日の道は昨日後半の険しい桟道よりも楽になるのかなと思っていたら次第に昨日よりもっと高度感がある道となった。
10:40 オリオ谷着。水平道の高さに付けられた堰堤の中がトンネルになっている。
12:02 志合谷着。この谷はかなり荒れていて道を作ってもすぐ崩壊するのであろう、谷の奥を横切るような150mくらいの長いトンネルが作ってあった。もちろんトンネル内は真っ暗であり、懐中電灯が無ければ歩けない。
15:35 ようやく欅平に着いた。ここまで黒部ダムから30.2km、阿曽原温泉から11.6km歩いた事になる。もう夕方になるが観光客もまだ大勢いる。少し休んだ後、祖母谷(ババタニ)温泉に向けて出発した。立派な橋を渡り舗装された林道を祖母谷に沿って遡って行く。
16:40 約300mのトンネルを抜けると対岸に祖母谷温泉が見えた。テント場にはテントが5張くらい張られていてまだ十分にスペースがある。1人宛テント代(500円)と入浴代(500円)を支払う
17:15 宿の露天風呂に入る。ここは屋根付きの脱衣所があり、男女は別の浴槽となっている。(念のために書いておくと女性の風呂は外からは見えない)。丁度気持ちの良い温度である。
17:55 夕食準備。今晩の料理担当者は村上シェフであり、美味しい前菜とタラコスパゲッティ-のご馳走であった。ビールやワイン、榊さん特製梅酒等を飲み、気持ち良くなったところで大西夫妻は自然の温泉に浸かりに行った。彼等の話では、体の半身がお湯で火傷しそうだし(実際ウルフさんは片足を火傷したとの事)、もう片側は川の水で冷たかったそうだ。事前の天気予報では明日は雨との事だったが空には星が出ている。
23:00 仙人温泉には行けなかったが美味しい料理や素晴らしい露天風呂を堪能したし今回の山行に満足して眠りにつく。


10月8日(月)

5:30 起床。昨夜24時くらいから雨がパラパラと降り出し降ったり止んだりしていたが早朝からは本格的に降り出した。我々の張った場所がちょっと水はけの悪い所だったので下のシートから水がしみ込んで来た
6:15 朝食準備。今日の朝も大西夫妻の担当であった。ジフィーズの五目飯に寿司の子を混ぜた寿司御飯である。ちょっと味が濃かったが美味しかった
8:02 出発。昨日澄んだ水が流れていた谷は今朝は水量がグッと増し、茶色の濁流が激しい勢いで流れている。
8:45 欅平着。宇奈月からの乗車券は1440円、雨具などを着込んでバッチリと防風・防寒対策をして屋根だけのトロッコ車両に乗る。
9:16 欅平からの始発に乗る。昨夜テントに泊まったと思われる登山客以外にも大勢の観光客が乗っている。我々と同じ窓の無い車両にも簡易雨具を着た客がたくさんいる。こんな雨で景色はよく見えないのに宇奈月から来るトロッコにはたくさんの観光客が乗っている。
10:40 美しい人造湖が見えて雨の宇奈月に着いた。
10:55 駅から10分程歩いて公衆浴場に行く。昔の銭湯のように男女の着替え場の中央に見張りのおばさんがいて、そこにお金を250円払うシステムである。
11:35 富山電鉄宇奈月駅で新魚津駅までの切符(900円)を買う。
13:48 JR魚津駅で松本駅までの切符(2940円)を買い、乗車。糸魚川、南小谷を経由して松本に着く。
18:35 スーパーあずさ34号(新宿行き)で松本発。大西夫妻は八王子で下車、21:05到着の予定が10分ほど遅れて新宿に到着。ここで村上さん、榊さんと別れる

(川久保 記)