2007年5月 白馬岳・針の木雪渓 会山行報告

5月12日(土) 天候:晴れ

猿倉8:10…白馬尻付近9:35…岩室付近2480m13:20〜13:35…白馬岳2932.2m15:00〜15:25−2120m付近15:50〜16:00−…猿倉17:10

 前夜東京を出発し猿倉に入る(1:50)。駐車場の空きを心配していたが一番乗りで少し気が抜ける。テントで小宴会の後就寝。到着が遅かったので比較的ゆっくりと起きてしたくをする。連休翌週だし、定期バスは来週からの運行のようで、朝になっても車は数台しかいない。
 板を背負って出発(8:10)。猿倉荘の脇を上り林道に入る。鑓温泉の分岐を過ぎ少し行くと雪が現れ10分ほどの歩きで板を履くことができた。林道沿いに進み2度ほど小さな沢を渡るのに板を外す。真っ青な空に白馬岳がはっきりと確認できる。金山沢が見える辺りから大雪渓に入る。広い大雪渓をロスの少ないルートを選びながら上る。白馬尻の小屋は今年も雪に埋まって見えない。今年は是非山頂を踏みたいということでオーバーペースにならないよう気を付ける。雪渓上部に人影が数人、我々の付近には10人程度のパーティがいる。昨年はなかった小規模のデブリをいくつか越え、昨年も休んだ2300m付近の急斜面の岩が露出している所で休憩(12:10〜12:50)。
 昨年はここから板を背負って杓子岳方面の稜線を目指したが時間切れで途中で断念した。ここから中川さんは板を背負い、外のメンバーはシール登行で急斜面を上る。左を見ると青い空に杓子岳の岩場が光る。振り返ると雪のない原っぱと化した岩岳スキー場が見下ろせる。この辺りの上りが一番きつい。新しい雪は比較的固くシールがきいて上りやすいので、できるだけ最近降った雪が残っている斜面を上るようにする。やっとの事で急斜面を上りきる。成ヶ澤さんの足がつってしまったようなので、残った3人で山頂を目指す。


杓子岳と白馬鑓ヶ岳を望む

中川さんも再び板を履き、やや緩やかになった斜面を上っていく。村営宿舎付近で一休み(14:10〜14:20)。 ひと上りで稜線に出る。杓子岳、白馬鑓ヶ岳が目の前にその右に立山連峰と剱岳、そして大日岳が姿を現し、ここまでの苦労をねぎらってくれる。さらに白馬山荘の間を抜け広い斜面を上り切って山頂に到着(15:00〜15:25)。稜線に出てから斜度は緩やかになったのだが結構時間がかかった。私にとっては2004年7月以来の山頂だ。上林さんは22年ぶりとの事。360°の大パノラマ、北アルプス北部の山々や日本海が一望できる。


白馬岳山頂にて

景色を楽しんでいると日もややかげり風も出て来たのでシールをはがして滑走に入る。  山頂付近は雪もしまっていて滑り易い。ひと滑りで成ヶ澤さんと合流(15:40)。大雪渓のほどよい斜面を快適に滑る。上る時は急でも滑るにはちょうどよい斜度だ。広い大雪渓をみな思い思いに滑る。
途中からデブリが頻繁に現われコースを選びながら滑る。2120m付近で一休み(15:50〜16:00)。その後1900m付近の杓子岳側に雪崩というよりも土砂崩れの跡を確認する。上る時はなかったので今日崩れたものだ。斜度も緩やかになり大雪渓もそろそろ終わり。上りと同じ所から林道に入り猿倉荘に戻る(17:10)。途中の小川で成ヶ澤さんがストックを流す。すぐ下流を探したが発見できず。すぐ下の滝壺に巻き込まれたようだ。 倉下の湯で北アルプスを見ながら汗を流し、途中白馬村のスポーツ店でストックを購入し、焼き肉屋で夕食を取り、翌日の針ノ木雪渓のため扇沢に移動した。  時間はかかったが、天候にも恵まれ2年越しで白馬岳の山頂を踏めて大満足。壮大な大雪渓の滑降を充分楽しむことができた。

(藤澤 記)


5月13日(日) 天候:曇り 時々雨 後晴れ

扇沢駅8:20…マヤクボ沢出会い11:35…扇沢駅13:10

前夜 就寝した頃雨が降り出したが、起床した時にはあがっており朝食を食べて出発の準備をする。前日 白馬岳の山頂から滑った満足感から盛大に飲んだため、体が重く動作が鈍いのはリーダーだけか?8:20 扇沢の駅を出発。昨日と違ってどんよりとした天気でイマイチ士気が上がらない。駅の横の沢は全く雪が無く、登山道沿いに歩き出したが直ぐに雨が降り出し雨具を着ける。以後しばらく降ったり止んだりが続く。最初の堰堤の手前で沢を渡り、何とかシールで歩けそうなのでシールを付けたが雪は少なく汚れている。少ない雪を拾って歩き、9:30 大沢小屋横に到着。
蓮華大沢付近は雪訓で賑わっていた。休憩を取ってから歩き出すが、相変わらず時折小雨がぱらつき、また デブリがまだ収まっておらず歩きにくい。時々小規模の落石が有り神経を使う。標高を上げるに従って風が出始めた。直ぐ後ろに見える爺ガ岳付近の天候は回復傾向で、雲の間から青空が出始めているのに針の木雪渓はどんよりとしたままで、ガスまで降りてきて天候悪化の雰囲気。こんなに近いのに何でこんなに天気が違うの? といった感じ。
黙々とスローペースで歩き続けるが徐々に風が強くなり、踏ん張っていないと倒されそうな風になる。マヤクボ沢の出会いの標高2230m 付近を本日の終点とした。天候とモチベーションが揃えば、日本三大雪渓の2つを二日間でで制覇できたが残念だ。ここのデブリにはスキーの板が一本突き刺さり、風に揺れていた。これはいったい何を意味する? 新しいデブリではないので、誰か巻き込まれていたとしても生存の確率は無いだろう。落石があっても風の音で全く判らない状況なので かまっている余裕は無く、速やかに滑走の準備をして滑り出す。斜面は荒れているが思ったよりも滑りやすい雪。小さな落石があちこちに有るが、雪面が汚くて見分けがつかず避けることができない。小石を踏むたび「痛!」と思いながらどんどん標高を下げ、大沢小屋の横まで ほぼ一気に降りて大休止。ここまでくれば一安心。


大沢小屋付近にて

休憩を取り、扇沢の駅を目指して 13:10 扇沢到着。帰りに お決まりの大町温泉 薬師の湯に入り、大町温泉の土産物屋で、タラの芽、山ウド、コシアブラ、コゴミ を仕入れて岐路に着いた。今宵 我が家はもちろん山菜パーティーでした。

(上林 記)