天気予報は良くなかったが山行を決行する。シルバーラインの通行時間規制がなくなったため、仮眠した道の駅ゆのたにを5時に出て石抱橋に5時半過ぎに到着する。出発の準備をしているとなんとストックを忘れたことに気付く。リーダーのあきれた視線をあびつつ慌てていると、石抱橋の近くにある渓流釣りの利用者施設の倉庫で古いストック2本を発見する。21日が釣り解禁日だったため利用者施設の管理人の方がいて、その方に頼んでストックを貸してもらいなんとか出発できた・・。3年越しの越後駒への執念だ・怨念だ、と散々なことを言われたが自分でもあまりの幸運?にびっくりした。というかもともと忘れるほうがどうかしているんだが。
北又川左岸を行き、柳沢の右岸尾根から道行山へと続く尾根を登る予定が、間違って左岸尾根を登っていることに1022m地点で気付く。道行山へ合流する夏道のある稜線に出るまで(1235m)は登りやすかったが、稜線をしばらく進むと細くて険しい尾根に行く手を阻まれる。尾根上を歩くのは無理だったので、稜線の少し下を歩行アイゼンをつけてトラバースした。雪が割れてクレバスのように深い穴になっている部分もあり、少し緊張してゆっくり進む。
尾根から張り出している雪庇を見上げるとちょっと怖いが、思ったより厳しいところではなくて、なんとか道行山の稜線のうえに出ることができた。ちょっと時間がかかってしまったが、このあとは小倉山を経て小屋直下の急斜面まで順調に進む。先行2人のペースが早いのでわたしだけ常に遅れ気味だったが快適に登れた。小屋直下の急斜面は、雪がゆるんでいたこともあり、歩行アイゼンはつけずにつぼ足で登ることができた。
小屋までくれば頂上はもうあと少し。小屋での休憩は省いて頂上を目指す。山頂は高曇りの天気で遠くの山々まで見渡せ、気持ちがよかった。私たち以外の登山者はいない。今日の天気予報では無理もない。記念撮影ののち、小屋まで滑り降りる。快適なザラメではないが決して滑りにくいわけではなくまずまずの雪質だった。
小屋の1階部分は完全に雪に埋まっていて2階の入り口からちょっとだけ中を覗いてすぐに出発する。小屋から下の斜面はかなり急で、リーダーは登ってきた尾根の西側の沢(滝鼻沢源頭部)を滑っていかれたが、わたしは急斜面にびびって半分は登ってきた尾根にかかるようにゆっくり降りた。沢には以前に滑った人が起こした小さな雪崩の跡が二筋ほどついていた。
あとは広い尾根を道行山への登り返し地点まで気持ちよく滑り降りる。リーダーいわく、白沢を降りるのも楽しいということだ。道行山までシールをつけて尾根を登り返し、往きに登り損ねた柳沢右岸の尾根を滑る。道行山を越えるといきなり木の密度が高くなり、滑るのが難しかったが、藪こぎというわけではなく時間はかかったものの北又川まで滑って降りることができた。ただ右岸尾根上の一部では雪が消えて地肌が見え、急なトラバースを余儀なくされる場所などもあり、右岸尾根を登るとなるとそれなりにしんどかったかもしれない。
16時20分、石抱橋帰着。空模様は終始怪しかったが何とか持ちこたえた。銀山平温泉の白銀の湯でお風呂に入って帰る。奥只見丸山スキー場からの帰りの人が多かったようだが、とてもきれいなお風呂でお勧めです。
(中川 記)