4時40分にバス営業所着。最寄のコンビニで朝食を入手したり、支度をしているうちに予約してあったタクシーが現れる。1時間ほどタクシーに乗り、大井沢見付、出発地点に到着。シールを付けて歩行開始。一部雪が解けているところもあったが、ほとんどスキーをはずすこともなく、平らな林道を歩く。道沿いには水芭蕉やフキノトウ等々、もう春を感じさせられた。日暮小屋が見えたあたりで雨が降り出した。川を渡渉して小屋に着く頃には本降りになったので、1時間半ほど休むことにする。午後は止む予報だったので、11時の状況を見て判断することにする。
3階建ての小屋は一見きれいだが、床を見ると黒い点々がたくさんある。小さい羽虫だ。3階の明るい所を掃除して、少し落ち着くが風雨は一向に止む気配がない。11時になる前に、村上さんは3階の2畳ほどの小部屋を掃除して落ち着くことに決めた様子である。午前中からリラックス、宴会モード。会議の結果、翌日は早朝から必要なものだけをザックに入れて予定の行程にすることにして、18:30に就寝。
3時起床。朝は村上さんのうどんを食べる。うどんを食べた後、なぜか体がポカポカして眠気が襲ってきた。少し横になると心拍数が上がっているようだ。お酒を飲んだ時の症状だ。「なんかうどんにお酒が入っていたみたい・・・・」と言うと、長くもつようにうどんにアルコールがまぶしてあると言う。30分間そのまま使い物にならず、寝てしまった。30分後「さあ、行くぞ〜!」という村上さんの声で起きる。と言うわけで予定より30分遅れて、長い1日のスタートとなった。
小屋の裏からすぐにスキーを脱いで藪漕ぎ開始。竜門山到着が11時。予定よりも時間がかかる。やはり朝日連峰は奥が深い。3日間でプランしたコースでは竜門山から沢を一度滑って登り返すことになっていたが、時間的に厳しいだろうということで、そのまま尾根を大朝日岳に向かうが、尾根は風が強く、視界も悪く、ルートファインディングに時間がかかる。その間、ヴォルフがスキーアイゼンを1つどこかで落としてしまうアクシデントも発生。
朝日小屋が見えてきた頃には、少し視界が良くなってきた。風を避けてやっと休めると思ったら、1階の入り口は雪に埋まっており、2階の冬期用入り口は、誰かが使用後にきちっと閉めなかったか、雪が詰まっていて使い物にならない。仕方がないので、小屋の陰で風を避けながら少し休む。ヴォルフと私は大朝日岳を登ったことがなかったのだが、時間も押していたし、尾根の風も相変わらず強いので今回は見合わせることにした。
時間的も遅くなっていたし、ヴォルフのアイゼンが片方ないのも心配なので尾根ルートは止めて、予定通り入リソウカ沢を下って登り返すことにする。爽快な滑りであった。当初の計画では入リソウカ沢から熊越に向かうのが2日登りのルートだったが、この日は入りゾウカ沢を1000mあたりまで降り、小朝日岳稜線に登り返す。これが思ったより長かった。また小朝日岳の東側は大きな雪庇、割れかかっている所も多く、注意しながら下降開始。
しかしすぐに暗くなり、ヘッドランプを付けての滑走となる。ハナヌキ峰の稜線歩きをカットしてトラバースしながら滑って下る。しかしGPSはあるものの、暗くなるとスピードが遅くなる。また根子ノ三沢が割れているので沢を越えてから下降しなければならないのだが、枝沢がたくさんあり、判断が難しくかった。最後の下降尾根はいつもの今の季節であれば雪の斜面が下の山道まで続いているのだが、今年の小雪で高度が下がると藪にはまってしまった。
PSには入っていなかったが、暗いので夏道を行った方が楽で安全だろうと判断したが、夏道を探すのにまた時間がかかってしまった。スキーを担いでの藪漕ぎはつらい。夏道を見つけ下るがやがて雪の中に消えまた雪の斜面を下る。沢を2つ越えてやっと山道らしき所に出る。を明け方うっすらと明るくなる頃に小屋に到着した。
暖かい飲み物を飲み、3時間程寝てから、9時半に小屋を出発。小屋からは携帯は通じないので、昨日小朝日岳から電話をしておいた。もう少し寝たかったが、タクシーの時間をずらすことはできなかった。
今回は今までで一番長い山行となった。反省点もいろいろあるが、無事に下山。朝日連峰の雰囲気も味わうことができた。また是非行きたい山域である。
(大西 記)