午後から天気が崩れるということで6時半に清水集落を出発し、柄沢川沿いを上流に向かう。広くて平らな沢を300メートルほど登り、堰堤の手前906メートル地点にたどりつく。どこから登るか迷ったがとりあえず堰堤手前の急斜面を北東方向に向かって登りだす。かなり傾斜がきついのでわたしはクトーを付けた。適度にしまった雪で藪もほとんど出ておらず、木をよけてジグザグに歩くのも比較的楽で怖くなかった。1340メートル地点西の小さなピークが見える場所にたどりつくまで2時間ほどかかり、しばし休憩する。
山頂はまだまだ遠くに見えたので、急斜面に時間がかかったことに弱気になる。ここからは尾根を歩き、巻機山から柄沢山へと続く稜線と交わる地点(1809)を目指す。去年敗退したような細い尾根ではなくて、地形的に南側がゆるやかなので精神的に非常に楽。なんということはなく順調に進むが、だんだんと斜度がましていくと風も強くなってきた。吹きっさらしの硬い斜面はシールのままでは滑って転ぶこともあり、滑落しそうなので3回ほどスキーを脱いでつぼ足で登った。
あと少しで稜線・・というところで風よけになる場所があったので少し休憩する。気温が高いので風があってもさほど苦痛ではなく、稜線に出るとだだっぴろい尾根で、さらに気分が楽になった。
ただしわたしだけは疲れて足取りが重く、先行2人に10分ほど遅れて山頂到着。途中「また敗退かしら・・」と弱気になったのが嘘のように思いのほか順調に登れてしまった。
山頂からの景色は、午後から雨という予報のわりに、遠くの山々まできれいに見渡せ、晴れではないが十分満足した。
山頂から真西にダイレクトに沢に滑り降りれるか偵察したが、方々に氷が露出したがりがりの斜面だったので、もときた1809メートル地点までもどって、登ってきた尾根の南側の沢を滑った。
雪質は、硬くて滑りやすい斜面→クラストしているわけではないが曲がりにくい重い雪→滑りやすい快適なザラメ(斜面も広く、とても気持ちよかった)→ブレーキのかかるぐさぐさの滑りにくい雪(わたしは止まって休まないと足がもたなかった・・)の順に上からめまぐるしく変わった。木がほとんどない広い斜面で非常に気持ちがよかったが、深雪のときは怖いだろうなとも思った。
気持ちのよいザラメの斜面が終わるところで「登りかえしますか」と問われたが、「待ってます」と即答してしまった。それであればみなでそのまま降りようということになったのだが、リーダー、サブリーダーはまったく元気で物足りない感じだったので申し訳なかった。
堰堤を越えた平原地帯で大休止。平らな沢は去年とは雪の積もり方が違って別の場所のようだった。
(中川 記)