蓮華温泉周辺 会山行
日程:2006年5月3(水)〜6日(土)
参加者:木村彰(L)、鈴木(SL)、佐藤直由、関(記録)
5月3日(水) 快晴
コースタイム: 9:15栂池ロープウェイ自然園‥‥>
11:00〜11:15白馬乗鞍岳
‥‥> 12:20天狗の庭==>12:45蓮華温泉
白馬乗鞍岳 自然園 蓮華温泉 ヘリスキーヤーが大勢滑っている 天狗の庭からの急斜面を滑る、 今日は、まだ誰も滑っていない。 天狗の庭からの急斜面を滑る。 今日は、まだ誰も滑っていない
栂池から白馬乗鞍経由蓮華温泉のルート
前夜18時、木村さんの車で西国分寺駅を出発し、深夜栂池の「ロッジ招仙」に投宿。6時起床、7:45ゴンドラ駅発、8時半ロープウェイ乗車、9:15白馬乗鞍目指し鈴木さん先頭で登高開始。快晴無風で抜けるように空が青い。10時過ぎ白馬乗鞍岳直下で休憩、ヘリスキー基地の天狗原から爆音が轟き、山頂を目指すスキーヤーが蟻の行列のように続く。11時溶岩と這松が露出した頂に到着し、昼食休憩、写真撮影、眺望を楽しむ。
20分後、行動再開。スキーを担ぎ溶岩台を抜けて滑走に入る。白馬大池も小屋もまだ雪の下、その上を一気に下り、ザラメの快適な滑走が続く。天狗ノ庭辺りから急傾斜になるが、雪質良く心地よく滑っている内に、いつの間にか蓮華温泉ロッジを見下ろす正面の壁に来ていた。右回りに滑り込み12:45蓮華温泉ロッジ到着。予想もしない早い到着となった。
部屋は2階の2グループの相部屋。時間が余りあるので、荷物整理後、鈴木さんは内風呂、私たちは木村さんご推奨の仙気ノ湯へ。10分ほど登った露天風呂は眺望満点、雪山が美しい。宿は大賑わいで食事は3交替制、最も早い5時半の夕食にし、8時就寝。
白馬乗鞍を登る蟻んこたち 翌日は混浴に・・「仙気の湯」
5月4日(木) 快晴
コースタイム: 6:50蓮華温泉‥‥> 08:00〜08:20瀬戸川‥‥>
12:15〜12:35雪倉岳山頂
==> 13:25〜13:30瀬戸川‥‥>
14:45蓮華温泉
5時起床、5:40朝食、6:50雪倉岳へ出発。シール着装で樹林帯を進むが、雪がガリガリでずり落ちるのでクトーを着ける。何度かルートを確認しつつ進み、やがて瀬戸川の上に出たが沢はまだ雪の下。日向の広い谷間を雪倉の滝を目指して登る。滝下の地点から沢音がしだいに高くなり、9時滝を越した地点で小休止。斜面しだいにきつくなり、9:35クトーを再着して急斜面の登りに掛かる。ここから1,900mを越す地点までは急登だ。暑くて大汗をかく。
10:20尾根筋に出て休憩。雪倉岳を望みつつ1時間余り登った頂上直下で休憩。更に登り詰めて、雪倉岳山頂到着12:15。山頂は人また人で混雑、休憩、補食、写真撮影、後立山連峰の眺望が素晴らしい。
滑走開始12:35、ザラメの広大な大斜面を皆快適に滑走する。木村さん佐藤さんも、鈴木さん心地よさそうにシュプールを描く。灌木の谷の入り口まで滑走して、1時休憩。無風の日溜まりで暑い。そこからは無数の縦溝が走り、滑りにくい。
20分ほど谷間を滑った後、沢傍でシールを着けて登り返しに入る。14:25樹林帯で最後の休憩。ロッジ到着14:45。
瀬戸川を渡った地点 頂上より白馬岳と旭岳
そのまま仙気ノ湯へ全員直行。露天風呂湯は満杯で、若い女性陣が占拠の状態。遅れた私が怖じけ付き、シールを剥がし帰り支度していると、空いたよと佐藤さんの声。勇を鼓して入る。やはり露天風呂は快い。夕食は6時過ぎ、9時就寝。
瀬戸川 蓮華温泉 雪倉岳
蓮華温泉から雪倉岳往復ルート
5月5日(金) 晴
コースタイム: 06:20蓮華温泉==> 07:05〜07:15瀬戸川‥‥>
12:35〜12:55朝日岳山頂
==> 14:15〜14:25瀬戸川‥‥>
(徒歩&シール)‥‥> 16:00蓮華温泉
5時起床、06:20朝日岳指して出発。樹林帯を滑って、瀬戸川を見下ろす壁の上に出る。吊り橋を通らず雪を積んだスノーブリッジを渡る。沢の雪解け水が音高く滾つ。07:10シール着装し、登行開始。やや曇って風が出て来た。1時間後ヒョウタン池を越した広大な地点で休憩、白高地沢の沢音がいたる所から響いて来る。1時間余り斜面を登りきった地点で休み、そこから雄大な五輪尾根を左に仰ぎ見ながら大斜面を登り、木陰で休憩。ここからまたきつい急斜面だが、登りつめて山頂直下の岩石這松帯で休止。頂まであと350m余り、標高差100mの地点。鈴木さんは疲れてこれまでと言うが、まだ予定の1時まで間があるので、頑張ることにする。
12:40ついに登頂。瀬戸川から標高差1,300m、5時間余りのアタックだ。頂には数パーティのみ、雪倉岳とは雲泥の差だ。風が強いので、早々に滑走準備に取りかかる。10分後木村さんが果敢に滑走して、ビデオの撮影に入る。一人一人思い思いにシュプールを描く。気分爽快。ザラメの質が良く、スキーが走る。撮影に応じて滑走を繰り返して大岩の突き出た地点まで滑り、ゆっくり休憩。
2,200m付近を行く鈴木 頂上付近は雪が切れている
1時半滑走再開。広い斜面一帯に縦状の溝が無数に走り、滑りにくい。おそらく雨に削られた跡だろう。沢音が響かう樹林帯まで重い雪を滑って小休止、沢音が快い。再び樹林帯をうねうねと滑って、14:15瀬戸川の渡渉点に出た。いよいよ屏風壁の登りだ。スキーをリュックに括り付け、壺足で登る。25分で壁を登り切って休憩。3時シールを着け登高開始。4時ロッジ到着。木村さんの音頭で目標の二峰踏破を祝い、ビールで乾杯。部屋替えがされてスキーヤーも激減、宿の温泉に浸かり、6時夕食、9時就寝。
赤男山 この付近に山頂直下からの雪崩 の跡。広大な広さにデブリがある。 蓮華温泉 朝日岳 瀬戸川スノーブリッジ
蓮華温泉から朝日岳往復ルート
5月6日(土) 晴のち曇
タイム: 06:45蓮華温泉‥‥>
08:20〜08:45天狗ノ庭の下(2,000m地点)‥‥>
09:00頃(滑落)〜09:25頃天狗ノ庭直下で待機==> 滑走して滑落のトレースを追う
==> 09:45頃蓮華温泉ロッジで合流〜10:15出発(振子沢経由に変更)
‥‥> 13:25〜13:45天狗原==>
14:15栂池ゴンドラ栂ノ森駅
5時起床、06:45天狗庭経由、金山沢に向けて出発。30分で正面の壁を登り、更に次の急斜面登り詰めて、08:20に休憩。
何度もスキーが外れたのでビンデングを締め直す。1週前ICI石井で全点検をしたばかりなのに不思議だ。急斜面を登り出して間もなく10分後、突然私のスキーがずれて滑落、両手を雪に差し込み雪を抱え込んで止めようとするが止まらない。
悲しいかな私には手に傷害があり、右手が利かない。特に右手指に力が入らず,箸もペンも使えずに手首が内転してしまう症状が13年も続いている。
2度止まりかけたが左手だけでは止めきれず、ロッジが見える地点まで滑落してしまった。一刻も速く連絡をと携帯電話をするが、木村さんにも佐藤さんにも、宿へも通じない。宿の電話ならと500mほど疾走して宿に駆け込み、フロントの方と電話を掛けまくったが一向に通じない。途方に暮れている所へ3人が駆けつけて来てくれてほっと一息。
コース変更して振子沢経由で下山することになり、10:15行動開始。後で分かったが、滑落地点は、天狗の庭を前にした2,050m付近、標高差400m、距離にして1,000mほど滑落したらしい。皆さんにどんなに心配をかけてしまったか、更に金山沢滑走をふいにしてしまった申し訳なさで、胸苦しくお詫びの言葉もないほどだった。もっと注意力と技術があれば、滑落もせず、また即座に食い止められたのに……、残念無念。
↑蓮華温泉から天狗の庭および滑落推定ルート
緩やかな谷間を、小休止を挟んで登高し12:30尾根を手前にして休憩後、尾根を越えてヘリポート基地と白馬乗鞍を右に見ながら天狗原に13:25到着休憩。20分後滑走を開始。縦溝だらけの斜面を下り、あっという間にロープウェイ駅を通過、森中を縫って14:15ゴンドラ栂ノ森駅に到着。ゴンドラで栂池高原駐車場に下り、荷物整理して出発。近くの温泉へ入り、4時温泉を出て、梓川のドライブインで食事し、20:20府中本町駅で解散。
同行の皆さん、大変お世話になり、また大変ご心配をお掛けいたしました。感謝いたすと共にお詫び致します。諸々教えて頂いて有り難うございました。 (関 記)
蓮華温泉より 朝日岳 (左写真) と 雪倉岳 (右写真)
リーダーのコメント:
天候に恵まれ、足前もほぼそろっていたが、なにせ高年齢ばかりのパーティだったせいか、行動時間は予定以上にかかった。それでも山頂を白馬乗鞍・雪倉・朝日と三山とも踏むことができたことは、サブリーダーをはじめとするメンバーの補助があったらからですし、それなりの成果ではあった。
ただし、必ずしもすべてが順調ではなかった。初日の急斜面での転落により木の枝に逆さに引っかかる事故。最終日の滑落事故。出発前に各自にルートに関して地図にトレースし、各自がルートの的確な判断ができるようにお願いしたにもかかわらず、実行しなかったメンバーがいたこと。出発準備の遅延、休憩時の次の行動の遅延など、個人の判断で回避できることをしていただけなかったことは、リーダーとして大変残念に感じています。募集時、初級者としていましたが、この程度のことは、初級者(初心者ではありません!!!)としても、当然できることだと思っています。また、滑落事故で、幸い、途中で木や岩に衝突することがなく、大きな怪我にいたらなかったことは不幸中の幸いではあったものの、リーダーとしては、なんとも情けない気持ちであったことは事実です。
一月の事故以来、リーダーになることへの緊張感は今まで以上です。参加メンバーが、それなりの認識と準備と行動をしていただけなければ、私だけではなくリーダーになる方はそれなりの精神的負担が大きくなってきています(私だけかもしれませんが・・・)。私としても、これからもリーダーを引き受ける機会は、わずかとはいえあるかもしれませんが、その際の参加に対する行動や準備にかんする要請は(初心者は除く)、厳しくしなくてはならないと考えています。
さらに、一言付け加えると、会員の中に、一月の事故を他人事と考えておられる方がいることを、大変残念に思っています。これからも、安全でかつ楽しい山スキーを続けるために、会員一人ひとりが自覚を持って自立した山行が行えることを願っています!(木村彰)