清水集落につくと朝からの雨が湿雪に変わった。錦織リーダーがテルモスの中蓋とゴーグルを忘れて落ち込んでいたが、気を取り直して出発。弱層テストを威守松山の西に位置する858m地点へ登りはじめる斜面の下で実施する。新雪の下にざらめが凍ったような硬い層があったが、コンプレッションテストではすぐ崩れることはなかった。
傾斜がきついので、できるだけ尾根に沿ってジグザグに斜面を登る。視界不良に加え、ルートを考えつつ登るのでなかなか前に進まない。858m地点まで標高差200mほどを登るのに1時間半もかかってしまった。小休止のあと尾根上を威守松山へと向かうが、しばらく行くとさらに斜度が増して、わたし的にはスキーで歩ける限界ぎりぎりだった。尾根が狭いうえに斜面がうねっているので、スキーでは乗り越せない部分を横にトラバースしてやりすごさざるをえない場所が何度も出てくる。先頭の人がどんどん急斜面をトラバースしていくのを後ろから見ていて「そっち大丈夫ですか」、「こっちのほうが登りやすいんじゃあ・・・」と後ろから声をかけ合ったり、後ずさりしたり、方向転換したりしてなんとか威守松山まで登りきる。(ほとんど先頭に立っていないにも拘わらず)達成感があった。
威守松山ですでに12時。柄沢山までは到底行けないにしても1,340m地点までは行きたいかなという気持ちもあったが、その先の痩せ尾根がとても前進できるような状態ではなく、ここから滑り降りることになった。
各自コンプレッションテストを行うも雪の状態は不安定で、特に風下側では手首3回くらいの刺激で30センチほどの雪面がずれた。
柄沢川の沢へ向かって南西方向に開けた斜面が広がっているが、錦織リーダーと中館さん、わたしは安全を期して登ってきた尾根を引き返し、樹林帯の中を滑った。
蒔田さんはスキーがうまいので頂上から一息に下の沢まで華麗に滑っていかれた。「調子にのって蒔田さんの真似をしないように」とリーダーから釘をさされて蒔田さんのあとに続く。真似しようにもとてもあんな風には滑れない。
雪質はわたし以外の人はよいと言っていたが・・・正直滑りにくかった。技術力の差か。途中から左に曲がって沢に出ると、木々が美しく散在するきれいな空間が開けた。ちょうど天気も回復してきて視界もよくなり、とても気持ちがよい。700m地点くらいまで滑り降り、再度登り返して春のパウダースキーを楽しんだ。くだりでは無線機で滑るルートや待ち合わせ場所などを細かにやりとりし、無線機は便利だった。
問題の柄沢山へのルートなのだが、やはりこの道ではないのではないか・・・。広い柄沢川の沢をまっすぐ登り、途中で適当な尾根をたどるのが正解だと思う・・・との結論に達した。
(中川 記)