2005年5月 針ノ木岳(納会) 会山行報告

日程 : 5月14日(土)

参加者 : 森達男(L記録)、木村彰(SL)、上林裕之(SL)、杉村雄一、早川二郎、小久保和幸、松井一夫、蓮見英史、赤崎輝久、小林迪子、中館敏子、清水三枝子(ゲスト)、関谷正義(特別参加)、合田英興(納会のみ参加)

今年は一泊のみの納会として、少々豪華なホテルを利用しました。東京では寒気の影響で寒さがぶり返したようで、当然針ノ木も寒いと予想をしたが極上の快晴、無風で久しぶりの春山スキー日和で9名が山頂に立つことができ、360度の大パノラマを満喫。雪は例年に比し多かったが、今週の積雪が融け始め引っかかり、滑走には不向きで重たい雪となってしまい、みんな特に上部では回転に苦労をしていました。しかし、この雪のためシール登高は滑落の危険がなく(実際今年は滑落者なし)安心して登ることが出来ました。
滑走中ではビデオ撮影、トレイン滑走等を楽しむことが出来ました。また、最近遭難時のみ使用されることの多い無線機が相互通信の手段として有用性が高いことを再認識しました。パーティ間で距離差が出来た時に連絡が適切にとれ、お互いのいらいらがなく精神衛生上よかった。特に悪天候時にはさらに有効であろう。積極的な利用が望まれる。

5月14日(土)
コースタイム:扇沢7:15……シール登高開始7:40……大沢小屋8:15〜8:25……マヤクボ沢出会11:00……マヤクボ岩棚12:00……針ノ木山頂13:10〜14:00――マヤクボ岩棚14:30――大沢小屋15:15―…扇沢16:00

扇沢のゲート前に集合し、上天の中、上林SLを先頭に出発。ブッシュを抜け車道に出て、再び沢に入るところから今年は雪があり、雪の上を進んで砂防ダムを越えてシール登高となった。例年より下部から板で登れるのはありがたいことであった。
大沢小屋のダムからは谷は完全に雪に覆われていた。小休止のあと、ここで無線機をONにして上を目指す。パーティは大回りしながらゆっくりと斜度を稼いでいくが、直登する人や調子が悪いのか遅れる人が出てきて距離差が大きくなってきた。ここで無線の威力が発揮された。上林、木村、中館、森が無線をもっていて、気がつくとなぜかばらばらになってしまっていた。当然声は届かない距離であった。しかし、お互いの連絡が充分にとれ状況が逐一わかり、いらいらはなかった。マヤクボ沢の分岐では完全にパーティは分かれてしまった。雪が多いせいかマヤクボ沢に向かって左側の斜面に雪が残っているのと、今週に積雪が10cm位あり登高中にずり滑る心配がなく登るにはいい雪であった。昨年は数名の滑落者がいたが、今年はだれも滑落することはなかった。
ほとんどの人は順調にマヤクボ沢の岩棚に到着をしたが、4名が大きく遅れた。時間的なこともあり無線で先行して頂上に行くよう依頼をした。岩棚に4名が到着した時には元気組は頂上に向かって進んでいるのが見えた。今年は今週の積雪のせいか薄化粧をしたようで大変綺麗な大斜面が見られた。13時過ぎに第一次隊が頂上についたとの無線が入り、天気良好、無風で大パノラマとの連絡があった。上林SLは頂上までシール登高ができた。その後、続々と山頂に到着をした。遅れた一人もいれて9名が山頂を踏めた。
滑走するとの連絡が入り待機組みは今か今かと見ていると、頂上直下のルンゼ(雪崩の跡あり)にそれらしき人影をみる。大斜面は滑走者が多く、まるでゲレンデのごとく雪がごちゃごちゃで真っ直ぐは難しいようで、向かって左に大きくトラバースをして綺麗な雪を選んで滑走してきた。  見ていると回転が難しいようで、苦労しているのが良くわかった。
全員がやっとマヤクボ沢の岩棚にそろい全員で滑走に入った。雪はめちゃくちゃ悪い、時にマヤクボ沢はとんでもないでこぼこでうまく回転できず、綺麗な雪を求めるがほとんどなく、なんとかマヤクボの下まで降りる。ここからは個人やトレイン滑走のビデオ撮影を何度が繰り返しながら下る。マヤクボ沢の分岐の下くらいから春の腐って汚い雪になり、石ころを避けながら滑っていった。途中、表層雪崩の跡や雪崩を目撃した。最近積もった雪が高温で緩み雪崩をあちこちで起こしたようだ。石ころを避け大沢小屋を越え、朝シール登高を始めたところまで安全に滑ることができました。扇沢まで板を担いで下り、山行は終わった。天気、積雪量に恵まれた楽しい一日であった。

(森 記)