2005年5月 白馬岳 個人山行報告
日程:2005年5月14日〜15日
5月14日(土) 晴れ
猿倉駐車場7:20(1235m)……白馬尻付近8:40(1526m)……葱平付近12:00〜12:15(2400m)……白馬山荘13:40〜14:15(2840m)……白馬岳2,932m14:30〜14:50(2932.m)……白馬山荘15:10
板を担いで猿倉を出発する。百メートルくらい歩いて、シール登高を始めた。朝起きたときはガスに包まれていた白馬三山がまるで窓のカーテンを開けたかのようにすーっとガスが引いてくっきり見えた。順調に大雪渓を登っていく。時折杓子尾根からガラガラと落石があった。途中2号雪渓を滑走してきたと思われるスキーヤーを見受けた。
一歩踏み出すごとに一呼吸おきながら登っていったので、皆との距離が少しずつ開き出す。担いでツボ足の方が断然速いと思った。ただしこれは予想通り。ここで焦って無理にペースを上げると、昨年のようにバテてしまうだろう。我慢して亀のように一歩一歩進んでいった。
途中、土屋リーダーと遠藤さんがお互いのスキーを交換していた。遠藤さんのスキーはビンディングともに超軽量だったようで、土屋リーダーは大喜び。逆に遠藤さんは鉛をつけられたように相当に重くなって渋い顔。それでも、直登する遠藤さんの姿は迫力があった。しかもスピードがまた早いのだ。
葱平の急斜面の手前で、宮本のみアイゼン歩行に切り替える。昨年の上林さんのアドバイスを思い出したのだった。トレースができていて単純に階段歩きをするだけなので今までと見違えるように登ることができた。このあたりまで来ると皆との距離が相当に開いてしまい、十分お待たせしてしまった。ちょっと心苦しい。笑顔で合流した後、再びシール登高で無事に白馬山荘到着した。昨年バテてしまった行程を、余裕持って通過することができて純粋にうれしかった。行動時間も昨年より約1時間半、時間短縮することができた。
白馬山荘で休憩の後、白馬岳山頂に向かった。山頂で滑走班(土屋、遠藤、永島)と山荘で待機班(田中、宮本)の2グループに分かれた。滑走班は白馬岳から三国境方面に少し降りてから、柳又源頭付近を標高2,500mくらいまで滑ったようだ。
山頂で白馬主稜を登ってきた女性2人のグループに会った。行動時間は我々とさほど変らないとのこと。山頂から何気なく主稜を見下ろすと、吸い込まれそうなほどの絶壁だった。頂上直下は斜度が60度くらいあるようだ。我々と登山形態は違うものの、彼等の充実した表情が印象的だった。スキーを担いで白馬主稜から登り大雪渓を滑走するなんて面白くないだろうか?とそんな力量もないくせに想像して独り悦に浸る。5時過ぎに滑走班が戻る。そのまま自炊で個人納会となる。土屋リーダーの野菜たっぷりのリゾットは美味しかった。山の上での納会もなかなかいいなあ・・と思った。21時就寝。部屋はストーブのある廊下より寒かった。
5月15日(日) 雪のち雨
白馬山荘10:00――葱平10:15――白馬尻小屋付近10:40――猿倉駐車場11:10
土屋リーダーとともにと4時半に起きてみると、外は何と!雪であった。新雪はうれしいが、視界が殆どない。天気予報も雨だった。午後以降も期待できそうにない。仕方ないのでもう一眠りして7時半に全員が起床。天気は相変わらず雪だった。当初の行程を負大幅に変更して、大雪渓をそのまま下山することになった。昨年の旭岳から清水谷、大出原から鑓温泉の滑走に期待していただけに落胆も大きい。静かでかつ長い朝食になった。
外に出てみると、吹雪いていた。天気はまるで冬に戻ったかのようだった。降雪は続いており重心を低くして踏ん張っていないと吹き飛ばされそうな風であった。白馬山荘直下はホワイトアウト状態。時折若干視界がよくなっても10mほど。アイスバーンになっている箇所も多かった。自分が止まっているのかと思ったら、いつの間にかズルズル下がっていることもあり、山酔い状態。一人ずつ慎重に滑っていったが、少しでも距離があくと、もう先行者が何処に行ったのか見えない。歩きで降りている登山者が突然視界からでてきてびっくりもした。声を掛け合いながら下った。気が付くといつの間にか葱平の上まで下りていた。稜線上に比べると若干視界が良くなったが、ここでは絶対に転べない。かなり緊張した。2、3ターンしては止まって確認しながら、何とか危険地帯を抜け出した。新雪が積もっていたので雪の状態はよかった。
あまりにも視界が悪い状態が続いたので、一旦休憩してガスが晴れるのを待つ。2、3分後一面乳白色だった視界がぱあっ・・と明るくなった。見下ろすと白馬尻までの視界が一気に開けている!「今だ!」と土屋リーダーが今までの鬱憤を晴らすかのように豪快に滑って、あっという間に豆粒のようになってしまった。皆も順次続く。白馬尻付近まで来ると、雪から雨に変っていた。
恐らくずっと雨が降り続いていたのだろう。昨日あれほど登りやすかった斜面も、尾根から水が流れた跡で、激しく凸凹になっていた。担いで歩きたくなった。雨も徐々に強くなってきていた。ここからは消化試合になってしまい、ただひたすら猿倉を目指した。駐車場に到着すると同時に頭上に雷鳴が轟き、雨が激しくなってきた。ギリギリのところだった。倉下の湯で汗を流し、いつもの道の駅で蕎麦を食べて、皆笑顔で帰途に着いた。
成果:
・ 標高差1,700mをバテることなく、割合スムーズに登りきることができた。
・ 1人を除いて白馬山荘までシール登高で登りきることができた。
課題:
・ 悪天候のため、旭岳と白馬鑓の滑走ができなかった。残念だが来シーズンに楽しみを取っておきたい。
(宮本 記)
白馬大雪渓登高行程断面図