2005年GW 十勝岳周辺 会山行報告
日程:2005年4月27日−5月6日
4月27日(水)
旭川空港18:30到着。(記録 成瀬4/27〜30)
一足先に到着の杉村さんと三浦先生の出迎えを受け、吹上温泉へ車を走らせる。辺りはもう暗い、「安全運転たのむよ」と言う矢口さんの言葉を尻目にスピードが出る。到着すると同時に夕食の支度、温泉は午後10時までなのでお陰で初日は入りそびれた。
4月28日(木)
十勝岳 晴れ 宿発8:10……山頂12:00/20――宿着14:00
天気は上々幸先がいいぞと意気込む。三年程前の正月に来た時は悪天候で登れなかった。今回はそのリベンジになった。8時10分吹上温泉出発。十勝岳避難小屋方向上部を目指し登る。山スキーらしい山行はここ数年ご無沙汰、久し振りだ。案の定途中で脚が吊りだす。遠藤さんがサロメチールを持っていたのでそれを塗るが古いのか効かない。そこで持参したパテックスを貼りなんとか回復、もちろん男性一同しばし後ろ向き「やれやれ」でした。ところが今度は靴ずれの始まり、困ったものだ。ここでも遠藤さん持参の靴ずれグッズのお出まし。「こりゃ先が思いやられそうだぞ」と、しかしその後は何事もなく山頂まで順調に行けた。
山頂を見上げると先行する「自然を滑る会」のグループが板をデポし、足場の悪い岩稜帯を登っているのが見えた。「あのコース取りはだめだよ」と、三浦先生が言う。我々は昭和火口とスリバチ火口下寄りを目指し、グラウンド火口下を右に回り込み山頂へと高度を稼ぐ。お陰で楽にスキー着装のまま登れた。晴れ渡った山頂からは真直に上富良野岳、三峰山、富良野岳、振り向くと美瑛岳、遠くにトムラウシ、二ペソツ等360度ここで暫く大展望を楽しむ。
十勝岳山頂より美瑛・オプタテシケ遠方にトムラウシを望む
4月29日(金)
三段山 曇りガス、強風 宿発9:00……山頂――宿着12:00
天気が悪いので様子を見ながら、遅めの出発だ。「自然を滑る会」のグループはいつも出発が早い。私達の朝食が始まる頃はもう玄関で身支度を始めている。悪天なので今日の予定は三段山だ。辺りはガスが出ている。三分の一ほど登ると「自然を滑る会」のメンバーの一人が滑り降りて来た。呼び止めると悪天で戻って来たという。風も強く視界も悪い。しばらく登ると今度は他のメンバー二人も降りて来た。こんな悪天候では早々降参が正解だろうが、我々は果敢に!登り続けた。益々、風は強まる一方だ。足元は硬く、強風のため歩みが止まる。なんと強風のなか、山頂まで無事到着、早々に下りにかかる。軽い悪雪でした。とにかく今日も滑った。
12時には宿に戻る。暫くすると小林さんと山本さんが到着。夕方到着の上林さんを迎えがてら、今日も上富良野の町へ下りスーパーでお買い物と忙しい。ひと滑りの後はのんびり温泉に浸かる、なんて贅沢なのか!貧乏暇なし状態で今日も終了。夜半から雨音が激しい、やがて早朝には雪になったようだ。
4月30日(土)
三段山 曇後晴 宿発9:00……山頂11:05〜20――樹林帯20分休み――宿着13:00
今日も三段山へ、人数は13人に膨れ上がる。昨日と違い天気は穏やか、三浦先生の樹木の説明などを聞きながら登る。ところで小林さんは強い、先頭集団の男性に遅れることなく、ピッタリと素晴らしいスライドで登る。私と山本さんは後続グループだ。
昨夜降った雪で黄砂が覆い隠され、白化粧されて綺麗だ。山頂を滑り降りると、快適な浅い新雪帯に差し掛かる。今日は今までで最高の雪質、皆快適な滑りを楽しむ。樹林帯に滑り下りた頃は、青空が広がる。ここでのんびり一息入れる。青空は出ているし、ここからもう一本登り返したい所だが誰も行かない。もったいないことだ。昔なら行っているはずだ。情けない事に、まだこの先日程があるので体力温存とし諦めた。ここからは皆思い思いのコースを滑る。
今日も上富良野のスーパーへ買出しだ。やはり上林さんは宿に戻り一息入れた後、一人で三段山に再トライ。1時間ほどで山頂に到着、誰もいない広い斜面を独り占め、快適に滑って来たそうだ。今晩の献立は何がいいとリクエストを募る。酒のつまみばかりが続いたので、カレーライスと声が上がる。食後明日の山行予定を何処にするか、みんなの意見を聞き富良野岳と決定。明日が楽しみだ。
5月1日(日)
富良野岳−前富良野岳 曇時々雨後晴 凌雲閣7:23……富良野岳11:07……山頂11:57―…前富良野岳13:45〜14:30――布札別16:00
(記録 5/1〜2小林)
今日は富良野岳へ行くという。念願かなって嬉しかったが、相変わらず霧で周囲は判然としない。こんな天気で本当に行けるのだろうか? 車で白銀荘から凌雲閣へ。7時32分、ここからヌッカクシ富良野川という、車道からはるかに低い流れを越える。このツボ足での雪の壁下りが、一番ひやりとしたところだった。
東京から8名、北海道5名総勢13名の大部隊、シールをつけてゆるい斜面、通称温泉スロープをそれぞれ自分のペースで歩き出す。ポツリ、雨粒が顔に当たった。山の輪郭が次第に薄く、遂に消えてしまった。十勝連峰の主稜線に突き上げる格好の尾根からちょっと右に外れた、三峰山沢の源頭辺りの窪地で一休み。もう雨は本降りである。しばらく雨宿りして様子をみていたが、ちょっと遅れた北海道のKさんが到着すると、"あんたがよければ出発だよ"、"私はいいよ"というわけで、登高続行。しばらくは主稜線をトラバース気味に。そのうちまた稜線にむかうと、傾斜もきつく、雪も硬くなってきた。クトーをつける人、つけない人、様々。そのうちまた山の姿が浮かび上がる。あれ!どこかで見た山の形・・・十勝? え?え? 地図をみて納得、頭の中で方向が逆転していた。
ツェルトに避難(遠藤・山本・上林・杉村)
富良野岳より十勝岳を望む
5月2日(月)
富良野岳ジャイアントコ−ス 曇り 上ホロ荘9:20……ホロ岩12:00〜13:00――車留め13:50
早朝からガスが濃い。今日の予定は富良野岳ホコ岩ジャイアントコ−ス、ベベルイ川源頭の斜面を言うらしい。ベベルイ川は通称ホコ岩に突き上げ、ホコ岩から富良野岳へ尾根がつながる。白銀荘を出て上ホロ荘前に車を止め9時20分、車道わきからヌッカクシ富良野川の小さな橋をわたった。ルートはここからトラバース気味にベベルイ川を越したその西側の真っ直ぐ南南東に、富良野岳にむかって伸びている尾根である。
比較的広くてゆるい樹林帯から尾根は次第に集約されて、樹もまばらになってきた。かなり風がきつく、急になった斜面は締まって硬い。最後はクトーの出番だ。尾根がハイマツの稜線にぶつかる急な最後のターンで手間どり、私はここで帽子を飛ばされた。何年分もの汗がしみこんだ帽子・・・心のどこかで風がびゅうびゅう吹き抜けていく、急に力がぬけた。
皆はホコ岩を見下ろす台地で、目の前に広がった風景に見とれていた。扇のように広がった白い山々、確かにここは十勝連峰の絶好の展望台だ。スキーをデポしてホコ岩の基部に下り、飽かず山を眺める。だが十勝本峰は薄っすら霧の中、なかなか全身を現さない。12時頃から約1時間楽しんで腰を上げた。雪はざくざくだった。私は滑りの神経をどこかに置き忘れたかのように、体が全然前へ出ないであせっていた。源頭部を過ぎると主に登ってきた尾根寄りの斜面を滑り、最短コ−スで最初の橋を渡り車道に戻った。車留め13時50分。ここから、ホコ岩が手に取るように、よく見えた。
5月3日(火)
旭岳〜愛山渓 曇 (記録 山本)
予約した送迎バスで旭岳に向かう。ゴールデンウィークというのに、なんと広々と・・・と言うか、閑散とした景色だろう。普段の休日早朝といえば、乗り換えるたびに想像以上に増えていく人の群れにいつも少しずつ慣れていく身には、このあっけらかんとした白々とした風景が実に新鮮。
旭岳周辺は、1/25,000の地図は繋ぎ目だらけになってしまう。ところが上林さんの保有する地図はじつにすっきりしており、1枚で必要なところがすべて納まっている。出所を聞くと旭岳のビジターセンターで売っているはずだと言う。みんな一斉に買っていこうと言ったのだが、ビジターセンターは閉まっていた…GWと言うのに。
今日は天気がよいというので旭岳に決めたのに、ロープウェイを降りると旭岳は裾野しか見えない。落石を用心したのだろうか、北斜面に回り込む。登り初めてしばらくすると、アイゼンに履き替えるよう指示が出た。上部はガスで見えず足下だけが硬くなっていく。スキーで登るメンバーの下には、アイゼンワークの確かな人がサブでついている。遅れながら稜線に出ると一気に風が強くなる。ピークに向かって回り込むのに、風の通り道になっているのだろうか、傾斜はないのに風の勢いに足が出ない。あまりの強風に正直「怖い!」と思った。このまま足が進まないと疲労凍死するんじゃないかと思えたくらい。そこに上林さんが来てザックの肩紐をつかんで前に進ませてくれ、やっとみんなの待ってるピークにたどり着いた。自分の力の無さを認識する山行となった。上林さんにすごく感謝している。
強風の中、旭岳登頂
5月4日(水)
富良野岳稜線−三峰山沢右股(仮称)滑降 曇後雪(記録 上林)
今日は午後4名が帰るため遠出は出来ず、凌雲閣から富良野岳の稜線に上がり、三浦さんも未だ滑った事の無いという三峰山沢右股滑降にチャレンジする事にする。
昨日までの北海道メンバー+ランドネに釧路からの参加者も加わりメンバーは多彩だ。凌雲閣まで車で移動して直ぐに沢に降りて登り返し、一昨日富良野岳を目指した時と同じ尾根をたどり、富良野岳の稜線を目指す。歩き始めて直ぐジルブレッタのビンディングのサイズ調整に手間取ったりしたが、その後は順調に尾根を登り、途中から三峰山手前の稜線に向けて直登する上林と釧路からの参加者、稜線直下をトラバースして稜線の富良野岳手前に向かうグループと、稜線に登らないグループの3パーティーに分かれる。
4月29日の夜に降った新雪もだいぶ沈み、サングラスを通して見ると山々が黄砂でまっ黄色に見えるのが悲しい。三峰山手前の稜線への直登は下から見上げるとかなり急斜面に見えたが登ってみると少し急な中斜面程度で大したことはなかった。うす曇だが稜線からの眺めはまあまあ。稜線を少し富良野岳側に下ってトラバース組みと合流し、ゆっくり準備をして三峰山沢の右股に向けて滑り出す。
のっけから幅の広いザラメの急斜面で快適に飛ばす。途中で稜線に登らなかったグループと合流し、全員で快適な沢を滑る。途中の2つの滝も埋まっており、少し狭い急な箇所もあったが危険箇所は無く、木の枝葉が落ちていた以外は最後まで非常に快適な斜面だった。
堰堤の手前で車道に戻り、バーデン上富良野まで歩いて今日の行程は終了。短い登りで滑り応えの有るコースだった。車を待つ間、金のかからないお土産としてフキノトウを採る。昼過ぎに宿に帰って、山本さんに昼食のラーメンを作っていただき、早くも昼から宴会。2時間程飲んで、突然降り出した激しい雪の中、杉村、山本、赤崎、上林の4名は上富良野バス停まで車で送っていただき帰路についた。
天候にはあまり恵まれなかったが、毎日山に入れて充実した5日間だった。
5月5日(木)
三段山 曇後雪 (5/5〜6 矢口 記録)
GWも後半、帰る人が何人か居て人数も減り、少し淋しくなった。天候は相変わらずスッキリしない濃いガスであったが、取り敢えずの感じで三段山に出掛ける。身体が山に慣れて来たのか、案外簡単に頂上を踏む。ガスの中で早々に滑降に移る。昨夜来の雪で斜面は最高の状態、視界も徐々に良くなり最も西寄りの沢を存分に滑降した。途中で休憩、“これだから止められない!!”と皆の顔がほころぶ。昼過ぎ白銀荘に戻る。夕方もう一度遠藤さんと西の沢まで1時間半ばかり登り、滑ってその素晴らしさの余韻に浸った。
5月6日(水)
十勝岳 晴
遂に最終日となった。三浦先生が所用で参加できず、Yが代行となった。天候が良くなり十勝岳を目指す。いつも三浦リーダーに従って登っていたので、ルート取りであの岩の上か下かで判断が迷うが、見通しが良いので何とか頂上を踏む。初日と最終日に十勝岳を滑れて充分に満足したGWになった。
上富良野岳鞍部で三浦先生