2005年2月 十石山会山行報告

日程:2005年2月5日〜6日

参加者:上林(L)、大坪(SL)、山本、曽我部、池田(会計)、土屋、中川、宮本(記録)

2月5日(土) 白骨温泉出発9:20 → 十石小屋到着15:00

天気:小雪のち猛吹雪 気温:マイナス15℃ 風速10m以上(稜線)
乗鞍高原観光センターの夜間仮眠室が改修のため使用できず、車中とテントに分かれて仮眠。翌朝、小雪が舞う中、スーパー林道の料金所付近に駐車。既に先行パーティがいるようで駐車スペースがない。準備運動を兼ねて皆で路肩を除雪して、駐車スペースを作った。
「早くしないとラッセルができなくなっちゃうよ」という、はやる土屋さんを先頭にスタートした。1,540mの鞍部で一息入れてから、先頭は順番に入れ替わった。しばらくすると先頭は宮本になった。地形的に一番急なところである。やってやるぜ!という意気込みのもと進んでいったが、5分もしないうちに意気消沈してしまった。はあ、もうだめ、少し休みましょうよ、と後ろを振り返ると、山本さんと目が合ってしまった。「あっ、やっぱり何でもありません。だっ・・大丈夫です。ぼっ・・ぼく、頑張ります。」と再びチャレンジ。先行トレースは、通過してからある程度時間が経っているようで、半ば雪に埋もれている部分もあった。やや直登気味の部分もあり登りづらくて閉口したが、ありがたく使わせていただいた。
その後先頭は交互に交替して、樹林帯の細い尾根を登っていった。天気は予想以上に穏やかである。密度の濃い樹林帯の中は殆ど風も無く、雪質は粉雪であった。皆早くも翌日の滑走に心が躍っていた。2,400mを越えると樹がまばらになり、それとともに風も強くなった。小屋を目前にしたところで、とうとうトレースがなくなってしまった。視界も殆どない。最後はGPSで小屋を探して到着。思った以上に大きく立派な小屋で、気分は安らいだ。
さあ、待ちに待った宴会ですね。山本シェフのサラダの前菜と、上林リーダーのチゲ鍋を美味しくいただく。飲みきれないほど担ぎ上げた酒類を次々に飲み干していく。それにしても寒すぎる小屋だった。吐いた息が小屋の壁を凍りつかせている。いったいマイナス何度なんだ。外は猛吹雪。体ごと倒されそうな台風並みの風がうず巻いている。10分して帰ってこなかったら救助を出すと、送り出されたトイレは日本一過酷なものとなった。21時就寝。一晩中猛吹雪であった。

2月6日(日) 十石小屋出発9:50 → 白骨温泉到着12:55

天気:晴(強風) 気温:マイナス10℃
8時起床。小屋に常備されているマットと毛布をフルに使って快眠できた。外は相変わらずの強風だが、快晴。360度の大展望。思わず寒さを忘れて見とれてしまった。朝食は山本シェフの餅とベーコンの入った雑炊。これも美味しくいただいて、さあ出発だ。
稜線から穂高連峰を横目に見ながら大滑走。樹林帯の中に入ると、風も穏やかになり快適なツリーランとなった。雪質も昨日より重いパウダーだが、楽しむには十分だった。尾根から南側の沢を軽快に滑ることができた。平坦になったところでシールを付けて歩行する。最後に昨日は登高に苦労した急斜面。上から見ると気後れしそうなくらい急で、しかもかなり密度の濃い滑りづらそうな樹林帯だったが、雪を巻き上げながら快適に滑ることができた。
皆順次雄叫び、歓声、悲鳴を上げながら、直線的に滑り、あるいは華麗に舞い、そして派手に転んだ。白骨温泉に到着。お疲れ様でした。泡の湯の日帰り入浴を済ませて皆笑顔で帰路についた。

成果
・厳冬期の本格的な冬山を楽しく体験できた。特に初心者にとっては、標高差もあり厳しい環境の中にある避難小屋泊も経験することができて、大変有意義なものとなった。

課題と反省
・小屋泊装備の際のシール登高能力とラッセル能力を高めること。トレース無しではたどり着けなかったことも考えられる。
・初心者は身支度を早く整えること。登高と滑走は技術と経験が必要だが、身支度は心構えの問題。(リーダー談)
ちょっとしたことで時間を短縮できると思う。

 (宮本 記)