八甲田山深雪 会山行報告 スキー協 4クラブ合同企画
日程:2004年2月7日(土)〜11日(水)
●7日
2月6日夜、石黒車に同乗し、翌朝8:00過ぎに酸ヶ湯温泉到着。9時頃、ランドネやスキー協他団体参加者の皆さんが宿の送迎バスで到着。早速出発の準備をするが、なかなか全員の足並みが揃わず、やっと9時半頃宿を出発。ロープウェイの駅に到着して、乗車の行列に加わる。
今回、私は会員としての初参加、かつ深雪経験は1ヶ月前の八幡平のみなので、他のみなさんの足を引っ張らなければよいがと非常に心配になる。そんな久しぶりの緊張感のままロープウェイ乗車。外は雪とガスでほとんど何も見えない。頂上着。雪も風もあるが、石黒さんの話ではこの時期にしては穏やかなほうとのこと。
今回のツアーの参加者28名が揃い、今年もお世話になる八甲田ガイドの其田隊長からの挨拶と説明を聞く。まずは足慣らしで山頂駅南側からモッコ沢コースへ出発。雪はずっと降り続いているので深いが、1ヶ月前の練習の成果を発揮(?)、何とか皆さんについていく。すぐに林間のトラバースコースに入り、林間を出るとフォレストコースに合流。無事に一本終了。あと4日半、何とかなりそうかなと一安心する。
午後は13:30に頂上集合なので、すぐにロープウェイに乗車して、頂上駅レストランで昼食。各自で腹ごしらえをして午後に備える。頂上で再集合するが、一般ツアーの50名と重なったため15分待機。13:45に銅像コースへ出発。板を担いで5分ほど登ってから下り開始。1200m付近で第1段の滑降斜面あり。斜度もよし、雪質も軽いので本当に気持ちよい。おもわず”おたけび”をあげてしまったのを成瀬さんに聞かれる。ここからは前嶽には登らずに東斜面をトラバース。第2段の滑降は1170Mの前嶽山頂の東北東斜面。こちらも第1段斜面と同様、斜度、雪質ともにベスト。この滑降が終わると、あとはダラダラ林間をぬけて銅像前へ。お迎えのバスがきて本日は終了。
夜は食事の後、当ツアーのCL長部さんが属する三多摩山スキークラブと、スノーモンスター、エーデルヴァイス、我々ラ・ランドネのメンバーが宴会部屋に集まり懇親会。ここで各自自己紹介をしたことで、翌日以降のツアーがお互いに過ごし易くなった。
●8日
昨日の出発時の反省から8時半には玄関前に集合することに。しかしバスの到着は遅く、結局10:10のロープウェイ乗車。天候は山麓では昨日より穏やかに思えたが、山頂駅に到着すると昨日より雪は弱いものの、大して変わりはない。本日の午前中は八甲田温泉コースに決定。頂上へ登り、少し下ってからシール装着。とはいっても、我々のコースの上部を行くシールなしの一般ツアーと抜きつ、抜かれつであまり意味はないように思える。1290m付近でシールを外して第1段滑走開始。相変わらず視界は悪いが、斜面と雪質は昨日同様に非常に良い。また林間のなだらかなコースに入り、休憩をしていると突然視界がよくなる。1200m付近から視界の良くなった八甲田温泉方向を望みながら第2段滑降開始。距離が長いので、結構疲れるが気持ちはよい。途中で何回か転びながら、斜面下へ到着。視界も良かったし、本当に気持ちよい!このころには昨夜の自己紹介の甲斐あって、他のグループの方ともいろいろ話すようになる。あとの林間コースでは気をつけて下り、途中ちょっとした小さなお楽しみ斜面を経て八甲田温泉着。バスでロープウェイ乗り場へ戻る。次回の集合は頂上に15時。本日の2回目は時間もなく予想通りモッコ沢コースへ。午前中かなり滑られた後なので、滑降にてこずる人も多い。すぐにトラバース気味の林間コースへ。あっという間にフォレストコースに合流して本日の滑走終了。夜は昨日と同様に宴会で盛り上がり、其田隊長を迎えて山へ入る心構えなど、非常にためになるお話を聞く。
●9日
昨日と同様に8時半集合。今朝でスノーモンスターの方々は帰宅なので、見送りをしてから出発する。天気は昨日より雪も強く相変わらず視界もよくない。皆の「遠出のコースにはいけないだろう」との予想通り、午前のコースはモッコ沢コース。ただし、いつもと違い、頂上駅の北側から滑り込む。なかなか良い斜面であったが、すぐに林間コースへ。途中で通常のモッコ沢コースと合流して、あっという間に無事終了するはずが、私がストックのリングを外して落としてしまった。深い雪で捜索は不可能なので、とりあえずロープウェイ駅まで滑ってから、隊長さんに予備のリングをもらって針金で装着。ゲレンデ用のストックに大型リングをむりやり取り付けたので、きっちり装着しなかったようだ。かなり反省(帰宅後にBlack Diamondのストックを購入しました)。本日の午前中でエーデルヴァイスのメンバーが帰宅するので、その前にもう1本いけるだろうと、休む間もなく2本目へ突入。すぐにロープウェイに乗車、通常のモッコ沢コースを下る。今朝、他のグループが下っていたトレースが既に埋まっている。それほど雪は多い。ただしこの雪は湿気が多くて、昨日までよりかなり重い気がした。エーデルヴァイスの帰りのバスに合わせて急いで下る。あまり急いで滑るのは危険であるし、あまり良くない。今回は仕方がないが、できれば避けないと、と思った。エーデルヴァイスのメンバーとロープウェイ駅で別れた後、3回目の滑降のためにまたロープウェイ乗車。上の食堂で腹ごしらえ。相変わらず視界は悪く、雪も降り続いているので深雪の状態では、またモッコ沢コースかと思われたが、とりあえず銅像コースへ出発する事に。メンバーがかなり減ったので、私もグループの前のほうで滑ろうと前へ移動する。しかし頂上に上ってわずかな距離を滑った後、今回はコンディションが悪いので銅像コースは無理ということで、フォレストコースに抜けることに。このコンディションであれば仕方がないと皆納得。ここからフォレストコースまでは雪屁が張り出しているところを何箇所か超えるので慎重になる。途中で其田隊長が4,5メートルの雪屁から落ちてヒヤッとするが、雪が深いので大丈夫なようだ。なんとかフォレストコースに戻り、林間コースを滑り本日は終了。バスの時刻まで30分ほどあったので、リフトに1回乗ってゲレンデを滑って終了。こちらも非常に重い雪であった。夜の宴会で今夜も其田隊長を迎えて、コースをどうやって決めているかなど、本日もためになる話を聞く。
●10日
昨晩のスキー場別の天気予報によると、八甲田スキー場は「晴れ」であったが、朝から雪が舞っている。今朝帰宅する早川さんに見送られ、9時にロープウェイ駅へ出発。ロープウェイ山頂付近でも視界は悪いが雪は降っていない。これは期待できる。本日1回目は銅像コースへ。9:55出発。頂上へ上ってから下り始める。すぐに視界が一時的にクリアになり、今回のツアーではじめての太陽の光下の樹氷を見ることができる。写真を撮るが、あっという間に視界は悪くなる。11時頃前嶽への鞍部に到着。今回はシールを装着して前嶽頂上を目指す。隊長さんのコース指示で、深井さん、石黒さんがラッセルでグループを引っ張る。11時半に頂上着。シールを外して、大滑降の準備をする。隊長さんの「視界がよくなったらGO!」との言葉通り、視界が突然良くなる。隊長さん、ラッセルで引っ張った深井さん、石黒さんを先頭にみなどんどんスタート。自分も下るが、距離が長いので、途中何度か転ぶ。あまりの景色のよさに、休憩がてらパノラマ写真も撮影。置いていかれそうなので、また滑降。初日の銅像コースとはまた異なりスケールの大きい斜面を滑ることができてみな大満足!早川さんの帰宅が悔やまれる。ここからはまた前回と同じ林間を下り、銅像前へ到着。バスでロープウェイに戻り、山頂駅で昼食。午後のコースは酸ヶ湯(中央)コースと決定。いろいろとお世話になった三多摩スキークラブが本日夕方に帰途につくので、これが他のクラブと合同で滑る最後のコースになる。今回は雪が深いのでこのコースは無理かと思っていたが、参加者の強い要望とラッセル要員の確保が可能なことから、其田隊長も重い腰をあげたようだ。田茂萢頂上から南へ下り始める。最初に1270m付近からの非常に滑り易い適度な斜面がある。ここを滑り終えたときに、参加者から「田中さん上達したね」と言われたのは嬉しかった。滑降斜面も終り、ここからは長い平坦区間となる。大岳側の西向き斜面に沿いながら進む。シールをつけていないのでラッセルは大変。今回も隊長・深井・石黒さんを先頭に進む。私もこれは経験と思い、先頭を2,3分だけやらせてもらったが、全然前に進まない。自分の体力不足、経験不足とラッセル組のすごさを実感。ラッセルを続けていくと、やっと軽い下り斜面が現れ、それを過ぎると宿の横の開けた斜面に出る。ラッセル組を先頭に宿へどんどんと下っていく。私は写真を撮ってから最後のほうに下る。斜度はいいのだが、雪は重く、コントロールが難しい。かなり派手に転倒。今回ばかりは深雪で足が抜けない。三多摩の陶山さん、大川さんに起こしてもらう。出発が遅かった事もあり、宿へ到着は17時ちょっと前であった。宿到着後は三多摩のメンバーの見送りをして、風呂、食事、懇談会となったのだが、ここで問題発生。合田さんの財布がないとのこと。きっとすぐに見つかると、みんな思っていたのだが....
●11日
当初、4日間のツアー終了後はスキーはせずに、本日は温泉でも浸かってゆっくり帰宅する予定であった。しかし、10日の天気予報で11日は好天、かつ一般ツアーコース組が「八甲田温泉コース」に行くという情報を入手し、急遽一般ツアーに参加することに。ラ・ランドネから倉崎、小松、合田、大竹、石黒、潟見、深井、田中と、三多摩から大川、陶山の合計9名が参加。それに一般ツアー客が加わる。10:10集合。ツアーはシール所持のガンガン組とのんびり組に分かれる。倉崎・小松さん以外はガンガン組へ。いつものように頂上へ登って少し滑降。すぐにシールを付けて歩き出す。雲の流れが非常に速い。途中から雲の間から日差しが差すようになり、最高の景色を拝むことができる。
そのままの天気で第1滑降ポイントへ。陸奥湾までくっきりと見渡せる急斜面を滑り降りる。雪質も上々。滑降後、シールはつけずに、第二滑降ポイントへ移動。こちらの上部から見ると硬そうに見えるが、滑ってみるとさきほどの急斜面の雪質と変わらない。ただ斜面の下部は固めの雪であった。滑降後は林間コースを通って八甲田温泉のピックアップポイントへ。ロープウェイ駅までのバスの送迎後、電車組と別れて、石黒車にて帰途へ。これで5日間の八甲田を全て終了。今年は運良くは深雪をたんのうでき、また最終日にはこの季節にはめずらしく晴天の中の滑降までができて、非常に充実したツアーになりました。個人的にも当会、他サークルの参加者の皆様には大変お世話になりました。来年以降もこのツアーが開催されるとよいですね。(報告;田中)
☆ スキー協合同企画について L合田英興
1. 本企画の経緯
2001年2月、ランドネの八甲田山山行期間中に酸ヶ湯温泉旅館において、矢口Lと三多摩山スキークラブ長部Lが「来年からは共同企画で、ノルハイム・テレマーク軍団同様に専用バスで滑りまくろう」と飲みながら握手したのが、本企画の嚆矢をなす。
2. 2002年2月 第1回目
当初、ランドネと三多摩だけでは人数不足のため労山も入れたが、初心者多く山行運営上の問題を来たした。更に三多摩会員2名が負傷して参加不能となり、其田ガイドに相当問題視された。
3. 2003年2月 第2回目
ランドネ、三多摩、こなゆき、エーデルヴァイスの4クラブ合同として実施し、初級者の1名が途中から別行動となり、山行運営は円滑となった。ただし、寡雪とモナカで滑りは散々であった。
4. 本年2月 第3回目
石の上にも3年か、過去最大の参加者28名となり、山行運営や懇親会も円滑に進み、シール登高も積極的に利用でき、雪と天気にも恵まれて3年前の当初計画どおりに実施できた。
5. 今後の運営案
@ 宿舎手配と行事責任は各クラブ、山行責任はガイドという形式で実施する。
A 山行はガイドが先頭、各会リーダークラスが殿を務める形式が良い。
B 参加者が多い場合、上級と中級にクラス分けすると各人満足度が高まる。
C このような組織的対応により、参加者が増加しても対応可能である。
以上