白神 追良瀬川 個人山行報告

日程:2004年6月26日(土)-29日(火)
メンバー:木村由佳里(L)、村上静志、上林裕之(記録)

6月26日(土) 天候:曇り
行程:秋田駅--->陸奥岩崎駅--->追良瀬川堰堤(11:00)---->二の沢手前テント場(15:10)
週末悪天の予報で一度中止を決定したが直前に予報が少し持ち直したため急遽出発を決定。金曜夜 22:10新宿発の夜行バスで秋田まで行き、JRを乗り継いで五能線の陸奥岩崎駅に到着。予約してあったタクシーで追良瀬川大橋の先の堰堤まで行ってもらい支度をして11時に出発する。心配していた天気もまずまずで追良瀬川の水量も平常位との事。河原を歩ける所は河原を歩き、渡渉を繰り返しながら遡行する。しばらく単調な遡行が続くが追良瀬川本流の水量は中々のもので、場所によっては胸までつかっての渡渉となる。丹沢あたりの沢よりずいぶん水温が低いようで、腰より深くもぐるとかなり寒く感じる。一の沢を過ぎて直ぐのゴルジュは通過できず踏み跡のある左岸を巻いたが巻き路も明確で問題無し。深い淵を巻く時数回ロープを出したが、あとはひたすら歩き続ける。15時 四十八滝沢を通過してすぐの二の沢手前の右岸にあるテント場に到着。計画では五郎三郎の沢まで行く予定だったが、水量も問題無く 翌日の行程も余裕があるとの事でここでタープを張る事にする。ここで村上さんが、持参した8mm 30mのロープを落とした事に気が付き探しに戻るが結局見つからなかった。今回はロープを2本持ってきて良かった。タープを張って、焚き木を拾い集めて焚き火を始めたが生木が多く、火のつきが悪くて苦労する。3回目の着火でようやく安定した焚き火となり、かついで来た酒と夕食でささやかな宴の開始。食当は村上さんで 炊いたご飯+レトルトのうなぎでうな丼。気温が低いため虫も少なく快適な素晴らしい夜となる。

6月27日(日) 天候:曇り
行程:二の沢手前テント場(7:00)--->ウズラ石沢出会い(11:00-12:00)--->ねこの額の河原(14:30)
5時起床で朝食を取り7時出発。朝食はシャケ雑炊。今日もまあまあの天気で元気に歩き出す。昨日と同様に渡渉を繰り返しながらひたすら歩く。8:40 五郎三郎の沢出会い。9:35 左手にイースター島のモアイ象の顔のように見える通称「人面滝」を通過。確かに人の顔に見えて面白い。あちこちに雪国の沢特有の雪に磨かれたスラブ状の岩が見える。冬は雪崩の巣なのだろう。徐々にゴルジュの通過が多くなり、右へ行ったり左へ行ったり、細かくルートを選びながらの遡行となる。水量が多くないため大半は水際を突破できて非常に楽しい。晴れて気温が高ければ泳ぎも入れてもっと楽しい遡行ができそうだ。徐々に岩魚の魚影も濃くなり目を楽しませてくれる。11:00 ウズラ石沢の出会いに到着。大きな淵があり、岩魚の群れも見える岩の上で蕎麦をゆでて昼食。ここからウズラ石沢に入る。水量は減るが徐々に高度を上げ、途中滝の通過と高巻きで何度かロープを出す。14:30 標高620m付近の「ねこの額の河原」と呼ばれる小さな河原に到着。直ぐ上の高台に今夜のテント場となるブナの樹林に囲まれた素晴らしいキャンプ適地がある。ブナの枯れ枝が沢山落ちており、焚き木にも困らない。タープを張って焚き木を沢山用意して17時頃から夕食。食当は上林で、オクラ+みょうがの和え物、ソーセージ+きのこ+高野豆腐の味噌味ちゃんこ鍋。夜半に月と星が見え始め明日の天気が楽しみだ。行程的に明日の下山が確実になったので 持って来た酒を全て飲み尽くして荷を軽くする。

6月28日(月) 天候:晴れ 時々曇り
行程:ねこの額の河原(8:00)--->白神岳(12:10-13:00)--->白神岳登山口(15:45)
明け方気温が下がり寒くて目が覚めた。6時起床で朝食を取り8時出発。朝食はパスタ。ブナの枝の合間から青空が覗きキラキラ輝く沢を遡行開始。日が当たると本当に美しい。沢の勾配が上がっていき、ぐんぐん高度を稼ぎながら遡行する。途中一箇所スノーブリッジの通過があり、これが崩れてきたら一貫の終わりと息を止めて一気に通過する。所々咲いているうす青色のシラネアオイとニッコウキスゲが美しい。山菜も山ウド、根曲がり竹、コシアブラ等 いくらでも取れそうだ。頻繁に沢の分岐が現れ、上部で迷いやすい沢なのでこまめに地図で確認しながら登ったが結局稜線直下で藪にぶつかりルートを間違えた事に気が付いた。少し戻ってみるが間違えた分岐が判らず、右手に山頂小屋も見えているので意を決して藪こぎに突入。密度の濃い根曲がり竹と潅木と戦うこと40分で全身泥だらけになって白神岳の山頂に到着。頂上からの世界遺産のブナ林の眺めを楽しみしていたが、ガスってしまい ほとんど展望が無くて残念。昼食にラーメンを作ろうと水場に降りたが なんと水が流れておらず昼食もおあずけとなり、靴を履き替えて山頂をあとにする。ブナの木に囲まれた素晴らしい登山道を下り、マデ山付近で白神温泉 静観荘の予約をして今晩の宿を確保。途中の水場で待望のラーメンの昼食を取る。休憩を入れて約3時間で登山口に到着。一段下の大駐車場まで迎えに来てもらった宿の車で陸奥岩崎の静観荘へ。温泉に入りビールで乾杯。予定通り?酒を浴びるように飲みちょっと贅沢な夜を過ごす。翌日は東能代経由で秋田へ出て秋田新幹線に乗る。盛岡で村上さんと別れ9時間かかって無事帰宅。

梅雨の最中に雨にも降られず、ブナに囲まれて水量豊富な山深い沢での幸せな3日間でした。同行した仲間と3日間 目を楽しませてくれた岩魚君達に感謝!

上林 記