昼も夜も空の色がすごかった白馬岳〜蓮華温泉ツアー
4月10日(土)〜12日(月)
メンバー:村上静志(L)、土屋秀二、鈴木郭之、野村健一、木村由佳里(記録)
コースタイム:
4/10(土)栂池スキー場ゴンドラ上9:15--天狗原11:35--白馬大池13:20--小蓮華16:00--三国境16:40(泊)
4/11(日)三国境7:30--白馬岳9:30--雪倉避難小屋13:00--雪倉岳14:10--蓮華温泉17:00(泊)
4/12(月)蓮華温泉7:20--天狗原12:00--栂池スキー場ゴンドラ下13:20
週末から月曜日にかけてとにかく晴れまくった3日間でした。
金曜日の夜、新宿を車で出発し、栂池スキー場のふもとの駅で仮眠、朝一番のゴンドラに乗って、いよいよ長丁場のはじまりです。
天気は快晴。気温も高く、半そでのTシャツ一枚で快調に天狗原へと向かいました。しかし、これが間違いの元。天狗原へ着く頃には、腕も顔も首も、素肌が出ているところはすっかり真っ赤。後で温泉につかることができず、ひどい目にあいました。 白馬乗鞍岳を越えて白馬大池に降りると、さっきまでうじゃうじゃいた人がすっかりいなくなり、私たち5人だけに。やっぱりこっちのコースはきびしいんだなぁ、と実感がわきます。小休止の後、小蓮華に向かって登りはじめました。
高度が上がるにしたがって、だんだん風が強くなります。小蓮華山頂に到着する頃には、尾根を伝ってくる風が吹き上げ、反対の尾根に吹き降ろし、人間は息をするのも苦しいほど。稜線は狭く、両脇はガケ。こんなところで風に足をとられたり滑ったりしたらたいへんです。小蓮華から本日のお宿のテント場までがまた、目の前に見えてるのになかなか着きません。風とたたかい、すべらないように緊張し、疲労困憊しながらテント場へ。やっとたどり着いてもすぐには休めません。風よけのブロック作り開始です。強風に何度かブロックをくずされながらも、ようやく1mほどのブロックができ、テントを張れる場所を確保しました。これでやっと暖かい食事にありつけます。やれやれ。
翌朝はスキーをザックにつけてアイゼンをはいて出発です。幸い、気温が高めだったので、足元はあまりガチガチには固まっておらず、アイゼンがよくききました。白馬岳の頂上の手前一箇所だけ村上さんにザイルを下ろしてもらい、急斜面を登りました。
白馬岳山頂からいよいよ滑降です。さあ、ここからはさーっと華麗に...というわけには、私の場合はいきません。風紋ができていたりブッシュが出ていたりして一人四苦八苦です。それを横目に「柳又谷の下からながめる白馬岳は壮大なんですよねー」と土屋くんの一言。「えっ!?」と振り向きましたが、もう山頂が見えないところにきてました。遅〜い!もっと早くおしえてよ。これはもう一度こなきゃいけないってことね、と悟りました。
そこから雪倉岳に登り返し、山頂からいっきに蓮華温泉めがけてすべり降りました。途中、かなり雪がゆるんでいて、雪崩の後があっちこっちにあります。埋まるほどではない表層雪崩のようでしたが、それでも目の前で雪がざーっと崩れていく姿は十分恐怖でした。 雪倉の滝の下から蓮華温泉まで約1時間。雪崩にもまきこまれず、滑落もせず、無事到着。あったかい温泉と夕飯で一息。やれやれ。
翌月曜日も晴天。のんびりハイキング気分で天狗原まで登り返し、栂池スキー場をすべりおりてツアーは終了。川のそばの露天風呂に入って帰りました。
3日間、空には雲がほとんどなく、昼間はぬけるような青空でした。夜になると真っ暗な空に満天の星。山がとがっているせいか、木があまりなく岩の風景が多かったせいか、星をながめているとまるで宇宙空間に浮かんでいるようです。こんな幻想的な風景をながめられるのも、青空の下の露天風呂で雪の北アルプスをながめながらビールを飲める幸せをかみしめられるのも、冬山とスキーに出会ったからこそ。雪倉に登る途中では雷鳥もたくさんいたし、天狗原に帰る道ではカモシカも横切りました。つらいことや、日ごろの訓練や、いろいろたいへんなこともあるけれど、ヘタをすると命を落としかねない危険な遊びでもあるけれど、この幸福感があるかぎり止められないなぁ、としみじみ感じたツアーでした。(木村 由佳里)