風雪とガスに追い返される
2002年4月11日(木)〜13日(土)
参加2人 土屋秀二(L) 青木和人(記録)
11日 新宿23:50発 雨の上がることを期待して、ガラ空きの急行「アルプス」に乗り込む。
12日 白馬大池7:05=(バス)=栂池ゴンドラ乗場8:30=栂の森駅9:10…天狗原11:00…
…白馬大池13:00…雪洞掘削14:00〜15:50
ゴンドラの客は、蓮華へ3・4パーティー約20名,ボーダー10人足らず。ゴンドラ終点から歩き出す頃には雨とガスも上がり始め、栂池の平からは白馬も望め薄日も射す天気となった。終始、先行パーティーのトレースをたどり天狗原へ。直前から高温湿雪が付着し、ゲタのようになる。天狗原の露岩は昨夜の新雪もあって、ほとんど隠れ、例年よりも雪が多いようだ。再びガスの濃くなった中を白馬乗鞍岳の斜面へ取りつく。かろうじて見える先行の土屋さんとコンパスを見比べ、西の方向を確保する。露岩混じりの緩い斜面を降り、平らなところに出たことで白馬大池と判断するが、自信がなく、ビバークと決めて、晴れるのを待つ。しばらくすると、ベールをはぐように一瞬にガスが晴れ、池対岸のゆったりとした雪の斜面が姿を現す。足を踏み入れるのを戸惑うような滑らかな雪の斜面に雪洞を掘り、潜り込む。夕日の茜色と夜の青色に浮かぶ雪面が印象的だ。
13日 雪洞7:00…小蓮華9:00…三国境手前10:00〜30−小蓮華11:00−金山沢上部稜線11:20−白馬尻12:00−猿倉=二股・おびなたの湯14:20=八方バスターミナル(解散)
入口に張ったツェルトを滑り落ちる雪に風を感じ、晴れた朝を迎える。稜線へ出ると、小蓮華が意外に高く見える。石混じりの夏道を避け、下の詰まった雪庇の上を歩く。根元のシュルンドとハイマツに一度ならずスキーを落とす。白馬沢側からの雪混じりの南風が頬を打ち、時によろめかす。冬ならば凍傷ものだ。三國境を前に白馬への2つの壁を観察している間に、ガスは鉢ケ岳、雪倉の姿を隠す。風と深くなるガスに白馬頂上から大雪渓への前進を諦め、来た道を引き返す。小蓮華を越しながら、ガスの合間に金山沢への降り口を観察する。岩陵のガリー状で、降りられるとは思えない。大池上部2612mのピークまで引き返し、薄くなったガスに大斜面と下に伸びる台地を見てやっと降りる決心がつく。圧倒される斜面にセオリー無視の水平な斜滑降を強いられる。台地まで降りてほっと一息。台地からは右にU字状の金山沢へ。上部ガリーと側壁の雪崩跡を避け、沢本筋を滑走する。白馬尻出合は下流に堰堤が現れ、大雪渓では三合雪渓にデブリが観察された。中山沢下部から、除雪された林道を二股へ。八方温泉「おびなたの湯」で汗を流し帰京した。
11〜13日の地上天気図では、日本の中央部まで南の高気圧が伸びているが、高層天気図(750hpa)では、日本の大半は北に居座った低圧帯に覆われ、この裾を地上天気図の小さな低気圧が通り過ぎている。このため、山には好天が及ばなかったようだ。