八幡平茶臼岳深雪滑り
モルモット木村ゆかりのスキー上達悪戦苦闘
連載第三回「下向きの恐怖を克服せよ!」
2月16日(土)〜17日(日)
●参加者 3人 村上(L)、猪俣、木村(ゆ)
場所:八幡平スキー場及び茶臼岳南東斜面
連載三回目でいよいよゲレンデを飛び出し、山へ入りました。コースの説明は2月号の村上さんの報告をご参照ください。今回のテーマは「深雪を楽しむ」じゃなく「深雪特訓」ですので、茶臼岳までのコースを、土曜日に1回、日曜日に2回、計3回往復しました。
まずは皆様お待ちかね、師匠の深雪練習のポイント1〜4をお読みください。
ポイント1:バランス良くスキーに乗る
基本練習ポイント1と同じです。抵抗のある深雪では、そのまま滑るとスキーのトップが雪の抵抗を受け上がってきて、そのままの体勢だと後傾になってしまいます。以前はこの後傾のまま回して滑るのが深雪の滑り方と教えていた人もいます。確かにトップが上を向いて雪の抵抗が少ないので、踵を軸にして曲げやすいので1つの技術としてはありますが、スピードが増したり、距離が長くなったりすると足に負担がかかって対応できなくなります。
ポイント2:上下動を正しくやる
短いカービングスキーは簡単に回転の切り換えができますが、抵抗のある深雪の中では難しくなります。回転のきっかけはパラレルでもプルークでもかまいませんが、基本練習ポイント2、3、4の動きの中で上下動を正しく入れると、スキーの推進力が増します。それを利用して回転のリズムを作り、切り換えをするのがコツです。
ポイント3:スキーが曲がっていくまで待つ
スキーを切り換えても、雪の抵抗がある分なかなか曲がろうとしません。そこで無理に回転させようとせず、曲がっていくまでバランスを保ちながら待つ。これが大切です。
ポイント4:慣れてきたら、いろんな深雪を体で覚える
深雪はその時の条件でいろいろ変わってきます。回しやすいニセコの深雪もあれば、重たくてどうもならない上越の深雪もあります。基本の滑りは同じですが、いろんな深雪をうまく滑るにはそれなりの慣れやテクニックが必要になってきます。いろんな深雪に入ることが最終的には上達の秘訣です。
...............やっぱり一読しただけではよくわかりません。
実感がわかないまま、今シーズン初のシール登行開始です。私がもたもたとシールをザックから取り出している間に、師匠はあっという間に準備を整え終わっています。目にもとまらぬ早業! どうしてそんなに早いの!?と、感心している場合じゃありませんでした、なんとかシールを貼り終え、最初は快調に登りはじめます。ところが、ちょっと傾斜がきつくなると、もうずるずる滑り落ちます。雪だるまになってもがき、後から通りかかった人に笑われ、汗だくになって頂上へ。
頂上へ....たどりついたとたん、汗は冷や汗に変わりました。「えっ!!下が見えない!!」と大騒ぎする私を横目に「だいじょうぶだよ、雫石と同じ要領で滑れば」と師匠は涼しい顔。40度はあろうかと思われる(実際は30度くらい)壁をスーッと滑っていってしまいました。
下から「はい、滑ってー!」の声。えーっ、「滑ってー」っと言われても...。頭に浮かぶのは谷底までころげ落ちていく自分の姿。しかし、ここで躊躇してても、許してもらえそうにありません。仕方なく滑りだします。
「ぎゃ〜、こわい〜」と叫びながら力いっぱい「く」の字に方向転換したとたん「だめだめ、そんな曲がり方じゃ、いつまでたってもうまくならないぞ!」の師匠の声。「ポイント3、スキーが曲がるまで待つ」。そうおっしゃられても...。またしても頭に浮かぶのは滑落の図。
「だいじょうぶだよ、スキーは曲がるんだから!」と、再び師匠の声。「え〜っ、ほんとですかぁあああ?」と叫びつつ、もうどうにでもなれ!とスキーを真下に向けていっきに滑ってみました。
すると、「曲がった!」。曲がりました、本当に。雫石での練習のときと同じ、真下を向いても後傾にならなければ怖くありません。ゲレンデと基本は同じなんですね。
「曲がったー!」とうれしくなって滑りだしたとたん、どーんと顔面から雪に突っ込みました。板もはじけ飛びましたが、お尻から転んだんじゃないところが進歩でしょ?
こんな調子でも、3回も登れば茶臼エキスパートです。シールの着けはずしも、だいぶ早くなりました。ラスト3回目もなんとか谷下まで降り、さーっと師匠の後を斜滑降していると、ふと振り向いた師匠が「おーい、逆だ!」。「えっ!?(何が!?)」と私。「どっち向いてるんだ、反対だよ!」。
そうです、私は山側を向いて斜滑降をしてたのでした。それじゃ、谷足に乗ってるわけがないよね、やれやれ、先は長い...。
次回はいよいよ山スキーツアー本番。秋田駒ケ岳(2月23〜25日)をお送りします。