雫石練習会
キーワードはアンギュレーション(外向傾姿勢)
1月12〜14日(月)
参加者 9人 村上(L)、金井、奥山、合田、土屋、猪俣、木村ゆ(記録)、ゲスト:高橋、矢本
第2回は、いよいよ「村上師匠」の下での特訓開始です。「カリカリのアイスバーンのロングコースで滑り込みを!」という師匠の意図も空しく、雫石スキー場は今年も適度な積雪で、ゲレンデはベストコンディション。
初日は気持ちよく滑って軽く足ならしをし、夕食後に技術ディスカッションが開かれました。話題は、いちばんの基本の「センターに乗る」こと(みなさま、ご記憶ですか!? 1月号の連載第1回でご紹介した「ポイント1」です)。
議論が白熱する中、物理の法則まで飛び出して、すでに私の頭は「?」でいっぱいです。物理の法則、つまり「板のセンターに乗って、生まれる浮力を利用する」って、どういうことなの??
2日目は、強風でゴンドラが止まってしまったため、滑り込み練習はひとまずお休みして、ビデオ撮影会です。夕食後に開かれたビデオ上映会で、映し出された自分の姿に愕然・・・。ポイント2の「アンギュレーション(外向傾姿勢)」はどこへいってしまったのでしょう、棒立ち、後傾、おまけに猫背です。あまりの格好悪さに、思わず「ウソー、もうスキーやめる!」と心の中で叫びました。
最終日はおだやかに晴れ上がり、ゴンドラも快調です。でも、私の気持ちは空の色と同じブルー。昨夜のビデオのショックから立ち直れません。
「今日は大きなターンの練習をします」という村上さんについて、ゲレンデの幅いっぱいの大きなターンの練習が始まりました。同じシュプールを描くように、との師匠の指示にもかかわらず、同じコースを滑ることができません。なぜなら、村上さんのターンは大きな弧を描いているために、一瞬谷に向かって真下を向く感覚があり、怖くなってしまうからです。つまり、私の場合は「弧」ではなく「ジグザグ」になってしまいます。
後ろを滑ってらした奥山さんが、私のへっぴり腰を見かねて「後傾にならなければ怖くないよ」とアドバイスをしてくださいました。そこで、思い切って姿勢を低くしたまま(なぜ姿勢を低くしたのかは、15ページの村上師匠の「ワンポイントアドバイス」を参照!)、前のめりになり、怖いのをじっとがまんして村上さんのシュプールの跡を追いかけてみました。
すると、すーっと板が滑って自然に曲がっていきます。お尻を落とさないように気をつけながら(師匠に「お尻がデカイからね」と笑われたので)、前へ前へと出てみました。「怖くない!」
なるほど、ほんとに怖くありません。後傾にならなければ、転ばないのです。板も、コントロールすることができます。
楽しくなって、さらにしっかり村上さんの跡をたどってみます。そのうちに自然に足が曲がるようになり、ぎこちないながらもアンギュレーションの取りかたがわかってきました。板の浮力も感じたような気がします。よし、これでイメージだけはできたゾ!
わが師匠の「アドバイス」をお読みください。以下にのっています。
(木村ゆかり)
■弟子が不肖すぎて黙っちゃおれん!師匠のワンポイントアドバイス■
大きなターンをすると、当然スキーと体が下を向く時間が長くなります。スピード慣れしていないと、体が引けて結果的に後傾になってしまい、そのまま滑るとスキーの前の押さえがないため、スキーが斜面に食い付いていかず、曲がっていこうとしません。今まで、ランドネの後傾の方はその打開策として、テールを強くずらすことによって回転させていました。
姿勢を低くすることは、足首と膝が曲がることですから、その分、腰が前に出て重心が前にゆく訳で、スキーの前の部分が雪面とくっついてエッジが食い込んでいき、サイドカーブでスキーは自然に曲がっていきます。これがカービングの基本、ポイント1のスキーのセンター(正しい位置)に乗ることなのです。
カービングスキーは、サイドカーブを強く作ってありますから、スキーに乗っていればどんどん曲がっていきます。ですから「正しく乗ればスキーは曲がる」という事を認識すれば、下を向いていても別に恐くはない訳です。
ただし、スピードが増してくると、遠心力でスキーと体は回転外側に押し出されていきます。そのまま押し出されると、自分が描きたいのと違うラインになってしまうので、これを食い止めるために、ポイント2のアンギュレーションが必要になってきます。これによって、体がターン外側に倒れる(流される)のを防ぐ、つい立ての役目をします。
同時にポイント3の「外足に乗ったターン」をして行くと、雪面に強いエッジングが生まれ、次のターンの原動力になります。これが、ポイント4の「ターンの時のエッジングでスキーは雪面の方から逆に圧力を受けるので、その圧力(スキーを浮き上がらせる力)を利用して次のターンをする」ということです。1から4を正しく行うと、きれいなS字が描けます。
(村上 静志)