日程
:2001年1月27日(土)-28日(日)
メンバー:村上(L),金井、上林、中館、土屋
1月27日(土)
JR東日本の「たび割7」切符を利用し、東京駅6:04発の「やまびこ31号」で仙台へ。 8:06
仙台着。参加予定だった合田氏は新幹線に間に合わず不参加となり、5名で予約しておいた宮城タクシーのジャンボタクシーで升沢の先の内水面試験場まで。高速を使用したがたっぷり1時間30分かかり料金も2万5千円。道路沿いの雪は思ったほど多くなかった。仕度をして10:30に出発しようとしたが、中館嬢からまったがかかり15分待機。今思えば新幹線やタクシーの中で出発の準備をある程度しておくべきだった。
10:45
シールを付けて内水面試験場を出発。しばらく林道沿いに進むと船形山方面への登山道との分岐があったが登山道は使用せず、もう少し先の630m付近から始まる北丸松保沢沿いの尾根に取り付く。しばらくゆるい斜度の尾根を登るが立ち木が多く難儀する。風の無い樹林帯を皆大汗をかきながら登る。800mあたりから斜度がきつくなったがそれ程深いラッセルでは無い。途中で1度ハンドテストで弱層のチェックをするが、この時点では安定と判断した。左側に沢を見ながらのルートは明確でひたすら高度をかせぐ。三光の宮を通過し、樹林帯が終わって蛇ケ岳の登りにかかると急に風が強くなり斜面も硬くなる。蛇ケ岳の山頂(この時点では山頂と思っていたが翌日、北東側の小ピークと判明)は強風で視界も悪いため、すぐに西側の尾根方面に移動。尾根上を西に移動したつもりが、なぜか右手に尾根があるため尾根に登り返す。視界はほとんど無く目標物が何も見えないため、このあたりから現在位置があやふやになる。何度もGPSで位置を確認するがどうしても地図と合わない。船形山への登り口がわからず徘徊している内に17時を過ぎて真っ暗となる。それでもヘッドランプを付けて登り口を探すが、18時頃あきらめて風が少し弱いゆるい斜面をビバーク地と決めて、ツェルトを張るために全員でスコップで斜面を掘ってツェルトを2つ張る。暗闇な風雪の中でのルートファインディングやツェルト設営は中々の緊張感で、冬山へ来た事を改めて実感した。19時頃ようやくツェルトに潜り込み食事の仕度を始める。夕食のメニューは村上さんに全ておまかせのきりたんぽ鍋で、たっぷり6人前を5人で全部たいらげたため、体も温まりようやく落ち着く。21:30
消灯。直ぐに眠りに入ったが夜中に目がさめ、シュラフカバーの入り口にたれる冷たい水滴と風の音で明け方までずっと眠れなかった。
【コースタイム】(不正確)
8:30 仙台タクシー発
10:00 内水面試験場着
10:45
内水面試験場出発
16:00? 蛇ケ岳北東小ピーク
18:00?
ビバーク地着
1月28日(日)
5:30起床。女性陣のテントはまだ寝静まっていたが起きて湯を沸かしコーヒーを飲む。
7時頃ようやく全員が起きて女性陣が朝食の仕度。たっぷりのチャーシュー、卵、野菜入りのラーメンを食べる。前夜もたっぷり野菜を取ったため快食快便。ありがたい事だ。外の視界は昨日よりましだが相変わらず現在位置がはっきりしない。昨晩から何度もツェルト中でGPSで現在位置を確認するがどうしても地図上の地形と一致しない。村上リーダーの判断で船形山登頂は断念して、升沢方面に戻ることにする。仕度をしてツェルトをたたみ9:30頃出発の準備完了と思いきや、またしても中館嬢がもたつき風雪の中でしばらく待たされて9:45ようやく出発。現在位置がはっきりしないがとりあえず東へ東へと進むと、昨日は通らなかった真っ平らな地形となる。地図上でこの真っ平らな地形は蛇ケ岳の北側のゆるい斜面しか無いが確信がもてないまま進むと右手に尾根がぼんやり見えてきて、やがてはっきりした登り斜面が見えてきたため頂上まで登るが風雪が強く長居できずに直ぐに元来た道へ戻る。下山ルートについて討議している間に少し視界が良くなり、蛇ケ岳の北東の小ピークが見えてようやくここが蛇ケ岳の山頂付近である確証がつかめたため小ピークへ移動すると、昨日の我々のトレースが残っていた。ようやく無事に帰れる気がして本当にほっとする。相変わらず風が強い。小ピークを越えてシールを付けたまま斜面を滑り、平らになった所で小休止。空を見上げると何時の間にか青空が出ていた。前方に三光の宮も確認でき、昨日登って来た樹林帯の稜線をシールをつけたまま下る。昨晩降った雪でトレースは全て消えていた。三光の宮の横でシールをはずして滑走の準備をする。滑走の準備が出来て出発。滑り始めてすぐ左側を見ると青空の中、船形山のピークとすぐ横に昨晩泊まるはずだった山頂小屋が見えた。ここからは左側に沢を見ながら夏道沿いのコースを下る。斜度がゆるいためダイナミックな滑りはできないが、雪質は良くようやくスキーができて嬉しかった。このまま順調に下山できると思っていたが、平らになった所で先頭を滑っていた土屋君が沢に入ってしまい、まずいと思いながらも全員ついていくとすぐに深い沢のトラバースになってしまう。上林が先頭になり沢の右側の急斜面を注意しながら進む。脛くらいまでもぐる雪の深さで結構体力を消耗した。雪崩の可能性が有る為時々左足を強く踏んで雪の状態を確認しながら進む。途中で雪質が変わり、スキーのトップがずぶずぶ潜りラッセルしずらい雪になってすぐ、いきなり目の前の斜面が10m四方滑り落ちた。表層雪崩である。
一瞬雪面が生き物になったようだった。小規模な雪崩で巻き込まれても大した事にはならなかったであろうが、幸いバランスを崩しただけで転倒もせずに済んだ。雪崩の跡を慎重に超えると雪質も元に戻り、何とか稜線に戻る事ができた。今朝登った人の物と思われるトレースを見つけ、後はひたすらトレース沿いに滑って下り無事登山口に出た。内水面試験場に人影は無く、携帯電話もつながらないため林道上をスキーを付けたまま升沢まで漕いで進む。12:45
升沢到着。雪下ろしをしていた民家にタクシーを呼んでもらい、吉岡まで出てお風呂に入り、14:50 仙台行きのバスに乗って仙台に16時到着。
【コースタイム】
8:45 ビバーク地出発
12:45 升沢着
上林 記