2018年4月月山肘折一気抜け

姥沢-月山-肘折温泉

概要

日程:2018年4月21日(土)~4月22日(日) 前夜発
参加者:八木(総合L)、上林(山行L)、猪俣、野村(記録)
 経緯:今回私は室岡さん企画の月山・湯殿山に申し込みをしていた。他にも参加希望者もいたが、その人たちは同日予定の八木さん企画、月山・肘折との山行にも参加意思を表示しており、結局私も他の参加希望者と同じに月山~肘折温泉までの一気抜け山行で一本化となった次第である。室岡さんも途中まで同行してくれることとなった。上林さん(今回は山行リーダー)と猪俣さんは2015年に同じルートで一気抜けを果たしている。私は2013年に他のメンバーと念仏小屋での1泊を挟んでの月山~肘折を経験しているが一気抜けは未体験である。八木さんは提案者として総合リーダーとなったものである。

4月21日(土) 天候:晴れ

道の駅西川6:30=ゲート6:45~6:50=姥沢駐車場7:05~7:25…リフト上駅8:20~8:25…月山山頂10:05~10:20-千本桜10:35~10:40-清川橋11:00~11:15-念仏小屋12:00~12:20-小岳13:05~13:20-大森山15:40~16:00-林道出合16:27-林道除雪地点16:58

 4月14日~15日が本来の日程であったが、天候が悪く一週間延期となり実施した。
遠方でもあり、早出できる人は早出ということで、前日の20日(金)、野村車に上林さん、猪俣さんと合計3名が乗車して午後4時前には首都高鹿浜橋から高速に乗った。八木さんは単独で夕刻に出発、それぞれ、前泊地である道の駅にしかわに21時30分、翌午前1時と到着。野村車メンバーはテント設営後、すでに到着していた室岡さんを交えて小宴会となった。翌朝、車泊した八木さんは室岡車に乗換え、野村車とで6時30分には姥沢を目指して出発した。姥沢の手前ゲート前駐車スぺ―スには既に10数台の車が待機している。
 しばらくゲート開放を待つと、係官が到着し、チェーンゲートを外してくれた。6時50分、予定時間の10分前であった。駐車場には7時5分到着。7時25分出発。駐車場北側奥の雪壁が低くなったところからシール歩行開始。スキーリフト乗り場を目指す。ただ、今年は大雪のためスキーリフトの支柱が傾いたということで、現在復旧工事中でリフトは稼働していない。従って、シールでリフト上駅まで登り上げなければならず、余分なアルバイトを必要とされた。リフト乗り場を右手に見ながら、スキー場のゲレンデを登る。今日は風が強い予報で、少々心配でもある。やがてスキーリフトの終点小屋の屋根らしきものが見えてきた。
 標高差は350mくらいはあるが、事前に想定した最短時間で登ることができた。リフトトップから少し行った月山の全容が見渡せるところまで進みシールを外す。こちらから見える月山の南に延びるゆったりとした尾根にはハイマツなどの植生が顔を出しており、雪解けが早いのが良くわかる。ここより四ッ谷川側に標高1450m位まで滑り降りる。前回は月山の南に延びる尾根から更に南西に延びる尾根沿いに月山を目指した記録が残っているが、今回は室岡さんの先導ですり鉢状の斜面を北東の方角に沿って牛首下近くの1700m位まで登り、更に東側に向かってジクを切りながら南に延びるなだらかな尾根に乗る。
 尾根は先ほど書いたように雪が無く、ハイマツ等が頭を出しているが、シールを付けたまま通過。植生のギリギリまで雪が残るコースをリードしてくれる室岡さんはさすがである。百メートルも歩くと頂上小屋のある斜面に出る。ここからは雪はしっかりと着いている。風も強く時折身体が倒れそうになるが、幸いなことに追い風で登るには都合が良かった。気温は相当上がって来ているが、風の御蔭で幾分かは堪え易い。流れ出る汗が風に吹かれて却って気持ち良い。
 あっという間に山頂到着である。360度の大展望であるが、気温が高すぎて、残念ながら鳥海山は見えない。屋根だけ出している月山神社本宮に本日の完走と無事を願って参拝。その後シールを外して滑降準備を整える。スキー板にはしっかりとワックスを塗る。東に向かって雄大に広がる大斜面へ向かって、それぞれ思い思いにシュプールを描きながら滑降開始である。青空が広がる中、素晴らしい春スキーの始まりと言いたいところであるが、気温が上がっている所為か、全てが快適なザラメ雪とはいかず所々で板が捕られるようにブレーキが掛かり、その都度身体が前後に揺らされ、とたんに腿に過大な負担となり、大腿筋が悲鳴をあげるが、そこは我慢。標高差約500m弱程を快哉を叫びながら滑り降りた。あっと言う間に千本桜に着く。眼下に念仏ヶ原が広がっている。名残惜しいがここで室岡さんとはお別れである。全員で記念写真であるが、ザックに置いての自動シャッターでは風でカメラが転げ落ちそうである。丁度後続の新潟グループが到着したので、撮影をお願いした。
 我々は更に尾根を東に取り、下降を続け尾根が細くなった標高1100m地点辺りから右側の清川に向かって滑り下りる。千本桜の下は雪が割れており、それを避けて、コースを選ぶ。我々に先行して下降を始めた新潟グループが1224mピークを通過しているが、我々は高度を下げながらピークを左に見てトラバース、新潟グループを追い越して、清川に着いた。そこからシールを付けて、念仏ヶ原への登り開始である。暑い。私は半袖となり、ヘルメットも脱帽し、夏用キャップを着用した。約20分ほどで、念仏ヶ原に到着、遠くに小屋のようなものが見えたがそれは岩であった、暫くブナがまばらに植生している平原を進むと今度は雪の中に僅かに屋根を出して埋まっている本物の念仏小屋前に着いた。
 入口のドアもしっかりと雪に埋まっている。小屋前で小休止とする。新潟グリープは遠く米粒ほどに見える。どうやら我々に遠慮をしたのか適当な距離を保って、遠くの木陰で休憩をしているようだ。
 小休憩後、北に向かい小岳への緩やかな登りを初める。ポツポツとブナやシラビソの類の植生があるが、ほぼ一面の雪面である。左手(西側)には滑って来た月山の斜面が大きく広がっているのが見える。東面の雪面が所々割れ始めているが、特に危険は無い。40分ほどで小岳に到着。シールを外していると、新潟グループも到着して、曰く、「トレースありがとうございます。結構複雑ですね。大助かりです。ストーカーみたいで付いて回って申し訳ありません・・」
 我々は小岳から北東に滑り下り、沢状地形を暫く滑り、赤沢川に着く。此処より赤砂山の標高980m位まで80m程スキーは担ぐ。この辺まで標高が下がってくると樹木の周りは大きく雪解けしたり、雪も更に腐れて、雪面の割れも大きいところが出てくる。この赤砂山の下りがそうで、本日一番の難所であった。大きく割れたとこを避けて、冷や冷やしながらも無事通過完了。後は最後のピーク大森山を目指す。大森山下の暗部に着く前に778m地点から南東に延びる尾根下に着く。もう少し沢状を進むと乗越す尾根も低くなると言うことで進もうとしたが、既に沢音も大きく、却って危険だろうと言うことで、其処よりスキーを担ぐ。幸い暑さも峠を越えて、風も気持ち良い。僅か50m程の登りであった。
 此処より大森山暗部まで滑り、シールを装着して大森山に取り付く。途中登山道に合流するところがあるが雪が消えているので、スキーを外して手で持って歩く。踏み跡も不明瞭だが、ピンクのテープが枝に巻かれて、登山道であることが判別できた。続いて登山道を分かれて大森山を直登するが、結構の急斜面で更に腐れ雪の上、樹の幹部分も大きく融解しておりシール登高に苦労する。それでも40分で大森山山頂到着(登山道は大森山は経由していない)。これにて本日の登りは終了である。
 シールを外して、ワックスを塗って、滑降準備である。東の肘折方面に向かって下降開始。約70m程高度を下げたところで、よくよく注意しないと分からない尾根が左右に分かれるところがあって、そこをそのまま直進して更に100m程滑り下りたところで、猪俣さんからGPSを見ると尾根が違うと指摘が入る。北に200m程も先に見えている尾根が本来の尾根であると言う。正規の尾根直下までトラバースをするが、最後は30m程の標高差を板を担いで登る。これが正真正銘の本日最後の登りとなった。
 僅かに1/4時間程のロスとなって、尾根に登りあげて小休止していると、新潟隊も同じく板を担いで登って来た。「途中でルートが無くなった・・・どうしたかと・・」ということで、上林山行リーダーが申し訳ないと言うと、「とんでも無い、金魚の糞みたいに付いて来て皆さんには迷惑だっと思うけど。御蔭でなんとか此処までこれた。感謝。感謝・・」と、このロスはホンの御愛嬌と言った塩梅であった。と言うことで後は最後の細心の注意を払って下り、16時27分、ほんの数分で雪に埋まった林道に合流した。ここからが長い、僅かであるがアップダウンのあるルートである。スキーはビンディングを歩行モードに切り替えて、滑り歩きで進む。
 17時数分前に林道除雪終了点に到着。大友旅館のバスが近くに迎えに来ている。やがて新潟のグループも到着し、同じ送迎のバスにて宿に向かった。その晩は温泉、酒、料理と心おきなく味わったのは言うまでも無い。
 上林さんの適切なルートファインディングがあったればこそほぼ無駄なく行動できた。感謝したい。
(野村 記)

追記:この大友旅館は江戸時代から続く老舗で、翌日は姥沢まで送ってくれるなどサービス満点な旅館であった。